この人に聞く
消費者が気になる牛乳・乳製品とは
〜消費者の声に答えたい〜
最終更新日:2025年4月7日
広報webマガジン「alic」2025年4月号
(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
顧問 大道不二子
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)は1988年に設立された公益社団法人です。現在、会員数約2000名、それぞれ消費生活に関する部署で消費者と企業、行政機関をつなぐパイプ役としての活動を行っています。
私の所属しているNACS東日本支部食部会は、1964年、消費生活コンサルタントを中心に「食部会」という名前で発足しました。発足時のメンバーは、当時自治体の消費生活センターや大手スーパー等の消費者相談窓口で、直接消費者から相談を受けていた消費生活相談員でした。
「食部会」は1988年NACS設立とともに名称を「東日本支部食部会」に改めました。発足以来、消費者相談窓口などに寄せられた食品に関する消費者の声を受けて、食品表示の見方や食品の基礎知識、食品の最新情報などを調査・研究して、消費者や企業、行政機関などに広く情報提供を行ってきました。
今回は、2月18日に開催されましたalicセミナー特別版及び消費者の方々との意見交換会のテーマとなった乳製品を中心に消費者の声をご紹介します。 |
消費生活相談窓口に寄せられた牛乳・乳製品に対する消費者の声より
〇牛乳の形状変化やにおいに対して
・牛乳のパックを冷蔵庫から出したらヨーグルトのようにとろとろになっていた!
・電子レンジで温めたらボロボロに固まった!
・牛乳のにおいがいつもと違う、草のようなにおいがする!
・紙パックの牛乳がプラスチックのようなにおいがする!
◎においの相談は、いずれも子供から言われた母親からの相談です。
原因や安全性などは、製造者や生産者には直接聞きにくいという消費者心理があるようです。 |
〇チーズの日持ちや保存方法、サイズと価格差に対して
・冷蔵庫に保管していたらチーズがコチコチに固くなった、食べられるか!
・開封後の日持ちや保存方法がわからない!
・いつものプロセスチーズのサイズが小さくなった、高くなっても同じサイズが欲しい!
◎食べなれたチーズのサイズや食感を望む人は多く、値上げしてもいつものサイズで販売して欲しかったという声がありました。 |
〇ヨーグルト菌の効能効果に対して
・メーカーによって特徴あるヨーグルト菌が使われているようだが、他社の製品と混ぜて食べても問題はないか!
◎ヨーグルトには組織が固めのものや柔らかめのものがあり、味や食感はメーカーによって違います。
消費者の中には、他社の商品に替えたり混ぜたりすると、効果がなくなるのではないかと気になる人がいます。 |
〇バターの種類に対して
・無塩バターと有塩バターの違いは何、使い分け方を知りたい!
◎お菓子や料理にバターは欠かせないものですが、バター特有の風味はバター以外では感じられません。
また、無塩と有塩の違いも知りたいという声が寄せられました。 |
〇その他
◎牛乳・乳製品の表示の意味がわからないという声が寄せられています。
牛乳の公正マークの意味や特定保健用食品、機能性表示食品の意味も、十分に理解されていないようです。 |
生産者、事業者、業界の皆様へのお願い
・生産現場の見学・体験・試飲や試食などの機会を広く用意して欲しい!
体で覚える機会が多いほど、豊かな食文化を繋いで行くことができると思います。
子供の時に覚えた匂い、色、味、食感などは一生続きます。
・情報は子供から高齢者まで世代に合わせて繰り返し発信して欲しい!
発信先に学校・子ども食堂・高齢者施設・自治体なども加えて下さい。
・夏場の牛乳余りの対策として、消費者も巻き込んで有効活用の検討をお願いします。
牛乳は栄養豊かで身近な食品です。必要としている人に届く対策を望みます。
・情報過多で消費者は困惑しています!
ネット上で一方的に目にする情報が正しい情報かどうか見分けられない、という消費者の声を耳にします。消費者から情報先に直接問い合わせるには勇気が必要です。正確な情報が食品関連事業者や団体で得られるように、誰にでもわかりやすい開かれた窓口の開設を望みます。
最後に
2月18日に実施されたalicセミナーと意見交換会では、牛乳・乳製品の栄養価と健康への関与を改めて再確認することができました。また、乳業に係わる生産者や乳業事業者の皆様のご苦労と頑張りも知ることができました。
いままでも、これからも、消費者団体NACSとして、また私個人として乳業の未来を支援していきたいと思っています。
※参考 「台所の知恵袋」(NACS東日本食部会)にはプロセスチーズとナチュラルチーズの違いを紹介しています。
(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
顧問 大道不二子
|
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
Tel:03-3583-8196