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今月のやさい:アスパラガス

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最終更新日:2025年6月5日
広報webマガジン「alic」2025年6月号
 1年を通して出回っているアスパラガスですが、旬は春から初夏にかけてです。
 でも旬をすぎても出回っているアスパラガス、原産国を見るとメキシコなど海外のものを見かけることが多くなるのではないでしょうか。日本と季節や作型が違う輸入物が1年を繋いでいます。
 現在は、輸入に頼っている時期があるアスパラガスですが、かつて、日本から世界に向けて輸出されていたことをご存じでしょうか?また、その当時は、ホワイトアスパラガスが缶詰で出回っていました。健康が意識されるようになり、緑の濃い野菜の人気が出たことで、現在、アスパラガスもグリーンアスパラガスが主流となりました。
 今が旬のアスパラガス、ぜひ手に取ってみてください。
 

概要

 アスパラガスはキジカクシ科の多年草で、雌雄(しゆう)異株(いかぶ)といって、雌花と雄花が別の個体に生ずる植物です。
 アスパラガスの原産地は、南ヨーロッパからウクライナだといわれ、古代ギリシャ時代から栽培されていました。日本には江戸時代に観賞用としてオランダ人から伝わりました。食用となったのは、大正時代に北海道で栽培が始まってからです。当初、北海道ではホワイトアスパラガスが栽培され、缶詰で出回っていました。その後、流通の改善や品種改良により鮮度を維持したまま運べるようになったこと、また、健康への意識の高まりの中で色の濃い野菜の人気が高まったことなどの理由により、グリーンアスパラガスの栽培が増加しました。

 アスパラガスは多年草で、地下茎で越冬しますが、春先に地面をおしのけて出てくる芽(若茎)が食べる部分です。通常のグリーンアスパラガスと、収穫時のみ光を遮断して芽を白くしたホワイトアスパラガスがあります。紫色の品種もあり、これを遮光するとピンク色になります。 春の芽吹きから収穫が始まるアスパラガスは、長い冬の終わりを告げ、春が来るのを待ちわびるヨーロッパの人々の楽しみとなっており、桜前線ならぬ「アスパラガス前線」が発表されます。
 

生産と流通

 アスパラガスは、種をまいて3年目から収穫します。地下(ちか)(けい)の下からたくさんの太い貯蔵(ちょぞう)(こん)を出しますが、そこに蓄えた貯蔵養分を使って一つの株から何本も若芽を出します。その芽の何本かを摘みとらずに残して葉を茂らせ、翌年の収穫のために株を維持することで10年以上の収穫を可能とします。芽からは想像ができないようなふわふわの細い葉が生い茂りますが、これは実際には葉でなく細い茎なので()(よう)と呼ばれます。アスパラガスの芽の成長は旺盛で夏場などは1日に10cm以上も伸びるので、1日に2 回収穫することもあります。
 令和5年アスパラガスの収穫量は、約2万5千トンとなっています。全体的な収穫量の推移は、やや減少傾向を示しています。収穫量の最も多いのは北海道で、全体の約14%を占めます。次いで、熊本県、佐賀県、栃木県となります。
 アスパラガスは、旬は春ですが、九州では「夏どり」で栽培を行っています。また、足の早いアスパラガスの鮮度を維持するため、空輸で関東に運ばれてきます。九州から関東へ野菜を空輸で運ぶのは、「空飛ぶ野菜」とも言われ、一定の流通網が確立しており、空輸の先駆けとなった福岡県の青ねぎから始まり、アスパラガスも空を飛んで関東に運ばれています。
 また、新幹線で運ばれる「はこビュン」も収穫から0日で消費地まで運ぶ流通網として話題となっています。
 アスパラガスは、肥料が多く必要な品目の一つです。その特性を生かし、畜産との連携が強いのもアスパラガス栽培の特徴の一つです。畜産業が盛んで堆肥の余剰が出る地域では、処分に悩む畜産農家があり、一方で、大量の堆肥を必要とするアスパラガス栽培農家があります。双方の連携による循環で、高い成果を出している事例も多くあります。
 
出荷統計
 日本では一年を通して手に入る野菜ですが、国産のアスパラガスは4月から10月くらいまでで、国産の出荷が少なくなる10月頃から翌3月までは、作型が日本とは違うメキシコや、南半球にあり季節が日本と逆転するオーストラリアから輸入しています。
 
市場入荷量
輸入

栄養

 春を告げる野菜の一つであるアスパラガスには、アスパラギン酸というアミノ酸が多く含まれています。
 アスパラギン酸は、エネルギー源として最も利用され易いアミノ酸の一つであることから、体内のエネルギー代謝を活発にし、疲労回復を早める効果が期待されています。また、神経に好ましくない作用をするアンモニアを尿として排泄する作用があり、イライラや不眠症を防ぐ効果も期待できます。また、うま味を持つアミノ酸として、さまざまな食品に含まれています。
 穂先に含まれるルチンは、毛細血管を丈夫にする働きがあり、動脈硬化を防ぎ、血圧を下げる効果もあるといわれています。そのほか、葉酸を多く含むなど、ビタミン類も幅広く含んでいます。ビタミン類は人体の機能を正常に保つために欠かせないものの、体内ではほとんど合成できないため食品から補う必要があります。
 アスパラガスのビタミン類は、ゆでても抜けないだけでなく、脂溶性ビタミン類を多く含むため、アスパラガスは油と組み合わせて摂取すると良いでしょう。


◆アスパラガスの世界をもっと知りたい方はこちらへ
 ・野菜情報 2025年6月号 今月の野菜 「アスパラガスの需給動向
 ・野菜情報 2025年6月号 産地紹介「長崎県 JA壱岐市 良き産地に、良き部会あり。日本一のアスパラガス産地を目指して

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