まめ知識
高校生たちの熱き挑戦!
〜第16回全国和菓子甲子園 決勝戦レポート〜
最終更新日:2025年10月6日
広報webマガジン「alic」2025年10月号
2025年8月26日(火)、東京製菓学校(東京都新宿区)にて「第16回全国和菓子甲子園」の決勝戦が開催されました。全国菓子工業組合連合会青年部が主催するこの大会は、高校生が和菓子づくりを通じて日本文化への理解を深め、豊かな創造力を発揮する舞台として、毎年大きな注目を集めています。
本稿では、熱気に包まれた大会当日の様子と栄えある受賞作品をご紹介します。 |
1 全国和菓子甲子園とは?
全国和菓子甲子園は、その名のとおり全国の高校生を対象とした「和菓子」のコンテストです。2010年に大阪府生菓子協同組合の青年部である大阪府生菓子青年クラブが、和菓子に対する意識の向上と文化の発信を目的に、同組合の50周年事業の一環として開催したのが始まりです
(注)。
(注)詳細は、砂糖類・でん粉情報2023年5月号「日本で唯一の高校生和菓子コンテスト『全国和菓子甲子園』」をご覧ください。
この大会では、高校生が2人1組のチームを組み、毎年設けられるテーマに沿って、味や技術、発想力、表現力を競い、日本一を目指します。
これまでには、「新元号『令和』にちなんだ和菓子」や「SDGS」、「日本のお米」、「日本の酪農」など、時代や社会性を反映した多彩なテーマが掲げられてきました。
そして今年のテーマは、「世界へ届けたい和菓子」
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、和菓子も世界中から注目を集めています。さらに、今年は大阪・関西万博の開催もあり、訪日観光客数が過去最高を更新するペースで推移するなど、和食文化への関心が一層高まる中、今回のテーマが設定されました。
今大会では、「あなたが作った和菓子は、日本を超えて世界中の誰に笑顔を届けたいですか?地元の名産や特産品?それとも伝統的な和菓子?」という問いかけのもと、高校生たちがそれぞれの想いを込めて、創意あふれる作品づくりに挑戦しました。
2 いざ決勝!高校生たちの和菓子バトル
全国36校から101作品の応募があり、地区予選を勝ち抜いた11校12作品が決勝戦に進出しました。決勝戦では、制限時間1時間45分の中で、1個80グラム以内の和菓子を完成させるというルールで、熱戦が繰り広げられました。
高校生たちは真剣な表情で作業に臨み、素材を一つひとつ丁寧に扱う姿からは、静かな熱気と集中力が感じられます。「牛乳入れます」、「後ろ通ります」といった声を掛け合い、互いに気を配りながら和菓子づくりに励む姿には、チームとしての絆が感じられました。
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参考:全国菓子工業組合連合会ホームページ>
<細やかな作業に集中する高校生たち。真剣な眼差しが印象的です。>
プレゼンテーションでは、審査員を前にして緊張しながらも、自作のプレゼンテーション資料や小物を活用した創意工夫に満ちた発表が行われました。質疑応答では、作品に込めた思いや誕生の裏側が語られ、会場は温かく和やかな雰囲気に包まれていました。
<プレゼンテーションの様子>
そして、すべての発表が終わった後、いよいよ審査結果の発表へ。
3 熱戦の末に輝いた受賞作品
厳正な審査の結果、岐阜県・城南高等学校の「万華鏡」が栄えある優勝に輝きました。この作品では、岐阜県の特産である干し柿のコンポートと餡をモチモチとした蒸しカステラで包み、羊羹で絞った模様で万華鏡の世界を表現しています。ユニークな構成に加え、味のバランス、素材の活かし方、そしてテーマとの親和性が高く評価されました。

<優勝作品「万華鏡」と製作の様子>
また、準優勝には以下の2作品が選ばれました。
〇岐阜県城南高等学校「結」
岐阜県の郷土菓子「栗きんとん」を主役に、世界遺産・白川郷の雪景色を、氷餅と抹茶を用いて再現し、建物や屋根の構造にも細やかな工夫が施されています。白川郷が世界遺産に登録された背景には、景観の美しさだけでなく、地域に根付く「結(ゆい)の心」と呼ばれる助け合いの精神があります。厳しい冬の自然環境の中、家々が協力し合いながら暮らしてきた歴史が、この精神を育んできました。作品名「結」には、世界中から訪れる人々に白川郷の美しい景観だけでなく、その背後にある人々の絆や暮らしにも触れてほしいという願いが込められました。

<準優勝作品「結」とプレゼンテーションの様子>
〇千葉県立安房拓心高等学校「すもーるすもう」
千葉県の高校生たちが、授業で実際に体験した「相撲」をテーマに、地域の食材と遊び心を融合させて創作した和菓子作品です。彼らの学校には本格的な相撲場があり、体育の授業では相撲を経験します。この作品には、千葉県名産の海苔や、南房総で採れるびわなど、地元の食材がふんだんに使用されています。土俵の粘り強さを山芋で再現し、羊羹には清めの塩を加え、相撲の儀式をイメージ。仕上げにきな粉をまぶし、土俵の質感が表現されています。

<準優勝作品「すもーるすもう」とプレゼンテーションの様子>
僅差で受賞を逃した作品も、いずれもアイデアにあふれ、完成度の高い力作ばかりでした。高校生たちの豊かな発想と技術力に、審査員からは惜しみない称賛の声が寄せられました。最後に行われた試食会では、参加者同士がお互いの作品を味わいながら健闘をたたえ合う温かな交流の場となりました。
<試食会の様子>
そんな盛り上がりの中、早くも来年の大会への期待が高まっています。
次回のテーマは「スポーツ×和菓子〜手軽にとれる高栄養和菓子〜」。
決勝戦は、辻調理師専門学校(大阪府大阪市)で開催予定です。
運動や勉強のあと、ちょっと疲れた時に、体が自然に求める栄養を和菓子で手軽に補える―そんな新しい和菓子の可能性を、高校生たちがどのように表現するのか、期待が高まります。
4 和菓子と砂糖、alicの使命
大会を通じて、参加者たちはさまざまな学びと経験を積み重ねています。和菓子に初めて触れることから始まり、素材や伝統文化への理解を深めるほか、地域の歴史を調べたり、地元の和菓子店と交流したりと、多くの過程を経て作品を完成させていきます。このように「全国和菓子甲子園」は、和菓子という日本の伝統文化の魅力を再発見し、次世代へとつなげていく貴重な舞台となっています。
和菓子は、四季折々の自然や日本の風土を繊細に映し出す、味わい深く感慨深い文化です。そして、和菓子に欠かせない材料のひとつである「砂糖」もこの文化を支える大切な存在です。
ご自宅に当たり前のように常備されている砂糖ですが、その背景には「いつでも」、「安定した価格」で購入できるための仕組みがあります。
alic(エーリック)は、砂糖の価格調整制度に基づく交付金業務などを通じて、国内の生産者を支援するとともに、日本の砂糖の安定供給を支えています。
alicは、農畜産業および関連産業の発展、そして皆様の消費生活の安定に向けて、さまざまな取り組みを推進してまいります。

<やっぱり国産!>
(総務広報課)
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農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
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