4月の生乳出荷量、前年同月比0.8%減
欧州委員会によると、2022年4月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1268万8630トン(前年同月比0.8%減)と前年同月をわずかに下回った(図1、表)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、上位3カ国のドイツ(同2.6%減)、フランス(同2.0%減)、オランダ(同2.6%減)がいずれも下回ったことで、イタリア(同8.1%増)、ポーランド(同1.1%増)などが上回ったものの、これら減少分を補うまでには至らなかった。
例年、生乳出荷量は春先の3〜5月にかけて増加するが、4月は前月比0.2%減となった。現地報道によると、高騰する飼料価格が生産者の収益を圧迫していることで、結果として生乳生産の抑制につながったとしている。
生乳出荷量が伸び悩む中、EUの生乳取引価格は右肩上がりで上昇を続けている。欧州委員会によると、22年5月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり47.36ユーロ(6828円:1ユーロ=144.17円
(注1)、前年同月比32.6%高)と15カ月連続で前年同月を上回った(図2)。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年6月末TTS相場。
1〜4月のクリームの生産量、前年同期比増
欧州委員会によると、2022年1〜4月のEUの主要な乳製品の生産量は、クリームが前年同期比3.2%増となった一方で、バター(同3.9%減)、脱脂粉乳(同4.7%減)、全粉乳(同4.9%減)、チーズ(同1.2%減)はいずれも減少した(図3)。現地報道によると、クリーム生産量の増加は、COVID−19に関連する規制解除が進み、外食産業での堅調な需要の現れであるとしている。なお、生乳供給量の減少に伴いこれらの乳製品の供給量も減少していることから、乳製品価格は高水準で推移している。
(調査情報部 小林 智也)