地域だより[2010年03月]
最終更新日:2010年4月13日
てん菜高性能多畦収穫機・除土積上機に関する報告会
平成22年2月17日(水)、帯広市のとかちプラザにおいて、社団法人北海道てん菜協会の主催、北海道、JA北海道中央会、JAの後援により、「てん菜高性能多畦収穫機・除土積上機に関する報告会」が開催された。
てん菜協会では、コントラクター組織の育成と併せて、てん菜収穫の効率化を図るため、平成15年から6年間にわたり「高性能多畦収穫機の改良・開発試験及びJAコントラクターによる実践モデル事業」に取り組んできたところであり、今回はこれらの取り組みに係る結果報告などを行ったものである。
まず、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター芽室拠点北海道畑輪作研究チーム研究員、大津英子氏から、「オランダ・ドイツのてん菜栽培」について発表があり、オランダとドイツのてん菜生産農家における大型てん菜多畦収穫機(ドイツ ホルマー社製 以下「テラドス」という。)の利用状況調査などや同機の利用を前提とした作業体系調査の報告が行われた。大津氏は、ヨーロッパ、ロシアなどで主に導入されているテラドスの作業性能、オランダ、ドイツ、わが国の耕種方法の比較、てん菜訪問農家の概要などを説明した。わが国におけるテラドスの使用に係る今後の課題としては、大型収穫機の導入コストの低減、同機の運用方法(テラドスのカスタマイズを含む)、操作が難しいとされる同機のオペレーターの育成、てん菜の栽培方法などが重要であると強調した。
次に、北海道立十勝農業試験場生産研究部栽培システム科研究職員、原圭祐氏から、「国内のてん菜に対応した多畦収穫機の改良と活用法」について発表があり、てん菜協会からの委託試験により平成15〜17年に「てん菜多畦収穫機導入実用化試験」、平成19年に「てん菜多畦収穫機における打撲軽減対策」を行い、テラドスの導入実用化に係る改良(6畦直播用→4畦移植・直播高畦栽培用へ改良)や同機の利用費用からみた活用方法などを説明した。現在はGISを活用した営農改善システムとてん菜多畦収穫支援システムを開発しており、運用計画の効率化や作業時間を予想するなどてん菜栽培の省力化へ向けた取り組みを行っているところである。今後の課題としては、収穫能力の高いテラドスは、利用組合などで使用した方が生産者の経済的メリットを発揮でき、そのためにはほ場整備や栽植方式、運用体系などを十分考慮する必要があるとした。
最後に、JA幕別町管理部企画課長下山一志氏から「JAコントラクターによる多畦ハーベスタの現地実証並びに実践モデルの結果」について、てん菜協会から委託された平成18・19年度の実証確認試験と平成20年度から2年間の実証モデル事業として実施した4畦テラドスによる打撲軽減対策等を含めた実践試験への取り組みについて報告するとともに、同機及びドイツにおける除土積上機の作業風景を動画などで紹介した。
わが国では農家の担い手不足、高齢化、作付面積の減少傾向といった今後避けることのできない諸問題に対し、新しい技術体系による農作業の効率化が求められており、直播による省力化のみならず、てん菜生産農家において改良型テラドスの使用が定着することを期待したい。(北村)
平成21年度「高品質てん菜づくり講習会」の開催 札幌事務所
社団法人北海道てん菜協会は、平成22年2月3日(水)〜4日(木)、2月8日(月)〜9日(火)の4日間、高品質で安定したてん菜生産を目指し、一層の栽培技術向上に寄与することを目的に、清水町、北見市、洞爺湖町、士別市の4会場において、「高品質てん菜づくり講習会」を開催した。同講習会には、てん菜生産者、糖業関係者、JAおよび行政関係者など延べ800名を超える参加があった。
同協会の石原専務理事による平成21年産のてん菜の生育状況、生産実績及び来年以降に向けての課題等を含めた開会あいさつの後、原料てん菜立会業務功労者表彰式が行われ、今年度は、全道で10名の立会人が表彰された。
図1 開会挨拶を行う社団法人北海道てん菜協会 石原専務理事
次に、農林水産省生産局生産流通振興課から「水田・畑作経営所得安定対策の下でのてん菜をめぐる事情」、JA北海道中央会畑作農業課、ホクレン農業協同組合連合会てん菜業務課から「てん菜諸情勢について」の説明がそれぞれ行われた。これらの説明の中で、農林水産省生産局生産流通振興課からは、糖価調整制度の概要と現状、てん菜生産量などの推移と調整金の収支について、さらに、今後のてん菜農家経営における直播栽培のメリットについて説明が行われ、生産者には収量がやや低下してもコストの削減と労働時間を下げる経営も選択肢の一つであると紹介した。
図2 原料てん菜立会業務功労者表彰式の様子
次に、農林水産省生産局生産流通振興課から「水田・畑作経営所得安定対策の下でのてん菜をめぐる事情」、JA北海道中央会畑作農業課、ホクレン農業協同組合連合会てん菜業務課から「てん菜諸情勢について」の説明がそれぞれ行われた。これらの説明の中で、農林水産省生産局生産流通振興課からは、糖価調整制度の概要と現状、てん菜生産量などの推移と調整金の収支について、さらに、今後のてん菜農家経営における直播栽培のメリットについて説明が行われ、生産者には収量がやや低下してもコストの削減と労働時間を下げる経営も選択肢の一つであると紹介した。
図3 「てん菜をめぐる事情」について説明を行う農林水産省生産局生産流通振興課 松下課長補佐
さらに、北海道立農業試験場から、「平成22年産高品質てん菜づくりに向けた栽培技術」と題し、平成21年産てん菜の生育の特徴、土壌のpHや心土破砕処理の効果、土壌診断による施肥の対応や直播栽培のポイントなどの説明が行われた。
図4 「平成22年産高品質てん菜づくりに向けた栽培技術」について説明を行う北海道立上川農業試験場技術普及部 高松主査
図5 「アシグロハモグリバエ防除対策」について説明を行う北海道立上川農業試験場研究部病虫科 斎藤研究職員
最後に、同じく北海道立農業試験場から、「アシグロハモグリバエ防除対策について」と題して、平成21年に9支庁41市町村にまで拡大した被害の対策には、冬期間にビニールハウスなどの被膜の除去や7月中旬〜8月上旬の薬剤散布が有効との説明が行われた。 (角田)
(注)
(1) 原料てん菜立会業務功労者表彰式とは、原料てん菜の立会業務において、受渡し並びに測定立会人として、その職務を誠実に尽くし、てん菜産業の振興発展に功労顕著な者を平成9年度から表彰しているものである。
(2) 原料てん菜立会業務とは、農協が生産者団体と糖業者が協議の上選定し、てん菜協会が推薦し、同協会が原料てん菜立会人として認定し、公正中立かつ円滑に遂行するために、その委嘱を受けた者が、生産者団体を代表するJA北海道中央会と糖業3者による原料てん菜の受渡しと測定の場に立会うことをいう。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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