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4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年4月時点予測)

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最終更新日:2020年5月11日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年4月時点予測)

2020年5月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州、タイ、南アフリカ、フィリピンで、2019年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が81.4%(前年比10.2ポイント増)、タイが18.6%(同9.5ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。

 以上により、この2カ国の動向については毎月報告し、南アフリカおよびフィリピンの動向についてはそれぞれ半年に1回の頻度で報告する(南アフリカは3月号および10月号、フィリピンは4月号および9月号を予定)。

豪州

2020/21年度、砂糖生産量はわずかに増加する見込み
 2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、記録的な猛暑と少雨に見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、3090万トン(同2.9%増)とわずかに増加すると見込まれる。
 
 砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、433万トン(同1.1%増)とわずかに増加すると見込まれる。砂糖の国際価格の低迷で輸出が鈍る可能性もあるが、インドの輸出の落ち込み(注)に伴い代替調達先としての恩恵を受けるとみられることから、輸出量は332万トン(同0.1%減)と横ばいで推移すると見込まれる。

(注)本誌「砂糖の国際需給−3.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2020年4月時点予測)−」のインドの項を参照。

クイーンズランド州の生産者団体、州政府に対し電気料金の引き下げを求める
 クイーンズランド州のサトウキビ生産者が組織する団体CANEGROWERSは4月2日、クイーンズランド州政府に対し、農業用施設などに設定されている電気料金の引き下げを求める声明を発表した。これは、近年、少雨傾向が続き、干ばつリスクが高まったことを受け、同州ではかんがい設備の整備が進んだものの、高止まりした電気料金が農業経営を圧迫するようになってきたことが背景にある。加えて、同州政府は、電気料金を現状より5%安くする検討を始めたが、その対象が家庭用や中小事業者の施設に限られ、農業用施設が対象から外れたことも、サトウキビ生産者の不満を招いた。

 同団体は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中にあっても、われわれは日々懸命に働き、安定的な食料供給に貢献している」と主張し、生産継続の支障となっている電気料金を一刻も早く引き下げるよう強く求めた。

表7 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2019/20年度、輸出量は大幅に減少する見込み
 2019/20年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、砂糖の国際価格の低迷により他作物へ転作が活発化したことで、156万ヘクタール(前年度比15.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれている(表8)。加えて、2019年初頭の降雨量が少なく、サトウキビの生育が停滞していることから、サトウキビ生産量は7500万トン(同42.7%減)と大幅に減少すると見込まれる。

 サトウキビ生産の落ち込みにより、砂糖生産量は879万トン(同43.1%減)と大幅に減少すると見込まれる。砂糖の減産に伴い、輸出量は856万トン(同18.0%減)と大幅に減少すると見込まれる。

タイ首相、夜間外出禁止令−砂糖の物流に影響なし
 タイのプラユット・ジャンオーチャー首相は4月2日、4月3日から当面の間、全土を対象に午後10時から翌午前4時までの外出を禁止すると発表した。農産物、医薬品などの生活必需品や貿易貨物などの輸送に従事する者はこの対象から除外されるものの、夜間の外出の必要性を証明する書類の携行が義務付けられた。

 現地報道によると、発令されてから1週間が経過した4月10日現在、一部では事務員の不足などにより日常的な手続きが滞っているというが、国内の物流網に大きな影響は出ていない。製糖業者においては、今期の操業は3月末ですでに終了していることから、今回の措置による砂糖生産への影響は皆無で、砂糖の流通にも支障が出ていないとみられる。ただし、飲食店の営業は前月から制限され、タイの観光スポットの一つでもある屋台も休業・営業短縮を余儀なくされており、これらの制約による同国の砂糖消費への影響について注視する必要がある。

表8 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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