最終更新日:2025年3月5日
広報webマガジン「alic」2025年3月号
今が旬のほうれんそうは、寒さで栄養価も甘みもぐっと増えます。和食にも洋食にも幅広く使える万能野菜、ぜひ、この時期のほうれんそうを味わってください!
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概要
ほうれんそうはヒユ科の一・二年草で雌雄異株(しゆういかぶ)です。
原産地は西アジアで、ペルシャで栽培が始まりました。そこから、西方のヨーロッパに伝播(でんぱ)したものが、オランダで品種改良が進んで葉肉の厚い丸葉の「西洋種」となりました。
一方、東方の中国に伝播したものが、根本が赤く葉に切り込みがある剣葉の「東洋種」となりました。日本へは、17世紀に中国から「東洋種」が渡来し、元禄(げんろく)時代の井原西鶴(さいかく)の「浮世草子」にも「ほうれんそうのおひたし」として登場しています。
生産と流通
東洋種は、あくが少なく、歯切れが良い淡泊な味が特徴ですが、春から夏に抽苔(ちゅうだい)(とうだちとも言います)しやすいため秋まきしかできず、江戸時代までは旬の冬にしか出回りませんでした。
明治以降に入って来た西洋種は、あくが強く、土の香りがありますが、抽苔しにくい特徴を持ちます。
現在は東洋種の味のよさと西洋種の抽苔しにくさをあわせ持つF1交雑種が主流となり、産地を移しながら周年で栽培されています。
基本的には寒さに強い冬野菜で、寒さにあたると糖度が増すため、ハウスの側窓を開放し、あえて冷気にあてる「寒(かん)締じめ」を行って甘味を乗せる栽培方法もあります。
ほうれんそうは、日本で広く栽培されていますが、主な産地は群馬県、埼玉県、千葉県です。令和5年産で207千トンの収穫量となりました。しかし、収穫量は、近年減少傾向を示しています。また、加工業務用野菜として、一定量が冷凍の形態で輸入されています。
昨今の加工業務用野菜の需要増加を受け、宮崎県・熊本県など消費地まで運ぶのに時間がかかる産地などでは、獲れたてのほうれんそうをすぐに冷凍することで、栄養素を維持した高品質な冷凍ほうれんそうの生産がされています。冷凍ほうれんそうの生産は増加傾向にあり、令和5年には約7.6千トンが生産されました。
資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」、財務省「貿易統計」
栄養
ほうれんそうは、緑黄色野菜の中でも高い栄養価を誇る野菜です。特にビタミンK 、葉酸、鉄分が豊富に含まれています。ビタミンK は、正常な血液凝固能に関与しており、不足すると止血しにくくなります。また、葉酸は核酸やたんぱく質の合成にかかわる成分で細胞の形成、造血の際に働きます。貧血予防に働く鉄も多く含むため、貧血になりやすい若い女性にたくさん食べてもらいたい食材です。
そのほか、細胞の正常な働きをサポートし高血圧を予防するカリウムや、丈夫な骨や歯をつくり神経機能を調節するカルシウムなど、ミネラルも比較的豊富に含んでいます。
冬が旬のほうれんそうは、夏と比べて冬の方が栄養価が高く、甘味も増して美味しくなります。
資料:文部科学省「日本食品成分表(八訂)2023年」
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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