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alicだより

台湾・財団法人中央畜産会(NAIF)との定期情報交換会議を開催しました

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最終更新日:2025年9月5日
広報webマガジン「alic」2025年9月号

 台湾の財団法人中央畜産会(以下「NAIF」という。)との定期情報交換会議を7月7日(月)に東京で開催しました。
 この会議は、日本と台湾の畜産をめぐる情勢などについて意見交換を行う場として2010年から定期的に開催しており、今回で14回目となりました。新型コロナウイルス感染症の影響による開催中止やオンライン開催などを挟んだため、今回の東京開催は2019年以来、6年ぶりとなりました。
 会議では、alic天羽理事長とNAIF蘇董事長の挨拶の後、日本と台湾の畜産をめぐる情勢などについて活発な意見交換が行われました。
 NAIFからは、「台湾における近年の食肉消費動向」、「台湾畜産業のネットゼロ炭素削減戦略」について説明がありました。
NAIFからの主な説明内容(抜粋)
●台湾における近年の食肉消費動向
 (1) 食肉の需給動向
  ・2023年の台湾における食肉自給率(カロリーベース)は70.8%(14年比8.0%減)。豚肉で86.3%(同3.3%減)、家きん肉で73.8%(同7.4%減)と自給率が高い一方、牛肉は4.6%(14年並み)と低い。
  ・23年の一人当たり年間食肉消費量は87.2キログラム(14年比11.5キログラム増)。うち家きん肉42.8キログラム、豚肉35.6キログラム。牛肉消費量も緩やかに増加し、7.6kgと過去最高を記録。家きん肉はフィットネスブームの影響などにより14年比で9.1キログラム増加。
 (2)牛肉の輸入動向
  ・近年の牛肉関連製品の年間輸入量は12〜16万トンで推移。主な輸入先は米国、パラグアイ、豪州、ニュージーランド。2018年2月にパラグアイとの経済連携協定が発効して以降、同国からの輸入量が顕著に増加。
  ・日本からの牛肉輸入量は年々増加しており、24年の輸入量は全体の約1%であるものの、輸入額は約6%を占める。主に冷蔵で輸入し、鍋料理、焼肉、高級飲食店などで使用。25年5月に30ヵ月齢超の日本産牛肉の輸入が解禁されたことから、今後消費の選択肢が増えると予測。
 (3)多様な食肉製品の発展
  ・多種多様なコンビニの少量パック食肉調理品が開発され、「おいしい、早い、便利」で人気。冷凍、冷蔵、常温の商品が開発され、インフルエンサーとのコラボなどを通じて新製品の話題性を高め、販売を伸ばしている。

●台湾畜産業のネットゼロ炭素削減戦略
 (1)台湾の2022年の温室効果ガス(GHG)総排出量は2億7862.5万トン (CO2換算値。以下同じ。)。うち農業部門排出量は616.8万トン(全体の2.2%)。燃料燃焼以外の農業部門排出量317.8万トンのうち家畜消化管由来(ゲップ)は20.6%、家畜排せつ物由来は29.9%。
 (2)畜産業に関しては、農業部門の目標である「2040農業ネットゼロ排出と台湾の新たな2030年炭素削減目標」の中で、「低炭素型の家畜生産モデルの構築によるGHG排出削減」などを目標に掲げ、アスパラゴプシスの利用推進、輸入飼料の代替となる飼料(農作物副産物)の利用推進、飼養期間の短縮などによるGHG削減とバイオガスの再利用効率の向上や家畜排せつ物由来堆肥の利用などに取り組んでいる。

※アスパラゴプシス(Asparagopsis)とは、紅藻の一種であり、通称カギケノリと呼ばれるもの。牛などの飼料に添加して給餌することで、ゲップなどに含まれるメタンの排出量を80%以上削減できるとされている。

 会議の最後に、NAIFとalicで引き続き交流を深めていくことを約束しました。次回は来年、台湾での開催を予定しています。
<定期情報交換会議の様子>
台湾・財団法人中央畜産会(NAIF:National Animal Industry Foundation)
2000年に台湾の畜牧法に基づき台湾政府によって設立された民間組織。畜産物の情報収集・提供、消費拡大、家畜改良など畜産に関する様々な業務を実施。
 
(調査情報部)


 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
Tel:03-3583-8196