バターの需給について
最終更新日:2012年8月3日
パンに塗ったり、お菓子や料理に使ったり、バターは食卓になくてはならない食材です。
バターにはどのような種類があり、日本における需給はどのようになっているのでしょうか。
バターについてご紹介します。
生乳生産と用途別取引
日本では、年間に約760万トン(平成22年度。以下同じ)の生乳が生産されています。
このうち、北海道の生産量は390万トンと過半数を占め、それ以外では地域別に関東地方の111万トン、九州地方の66万トン、東北地方の62万トンが主な生産地です。
これらの生乳は、生産者団体が酪農家から集荷し、乳業会社へ販売したものが各地の乳業工場へ送られます。
乳業会社へ販売される生乳は、「用途別取引」といって、牛乳等向け、はっ酵乳(ヨーグルトなど)向け、クリーム等向け、チーズ向けのほかにバターや脱脂粉乳等の加工原料乳向けに仕向けられます。
地理的な条件により、東京や大阪などの大消費地から遠い北海道は、チーズやバター、脱脂粉乳など保存性がある乳製品の生産割合が他の地域に比べ圧倒的に多くなっています。
バターの種類
こうして生産されたバターには、普段スーパーなどで購入する「家庭用バター」、町の洋菓子店などが使用する「ポンドバター」、そして製菓・製パンなどの業務用として使用される「バラバター」、「シートバター」などの種類があり、平成22年度には全体で約7万トン生産されました。
これらは、食塩添加の有無により、有塩バター、無塩バター(製品には「食塩不使用」と表記)としても区分されます。
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参考:バターの成分等について |
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〇「生乳等から得られた脂肪粒を練圧したもの」 |
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〇「乳脂肪分80%以上、水分17%以下」 |
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参考:バターの種類について |
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【バラバター】 |
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主に20〜25kgのブロックタイプのバターで、段ボールに箱詰めされています。 |
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一般に冷凍保存されることから品質保持期限は比較的長く、製菓・製パン、飲料等の原料として |
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使われています。機構が輸入対象としているバターです。 |
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【ポンド(プリント)バター】 |
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主に約450g(1ポンド)のバターで、冷蔵保存されることから品質保持期限は比較的短いです。 |
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レストランなどの外食業界、製菓・製パン業(洋菓子店、パン小売店など)で使われています。 |
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【家庭用バター】 |
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約200gのバターで、スーパー等で家庭向けに販売されているもので、冷蔵保存されています。 |
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【シートバター】 |
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薄くシート上に延ばした主に無塩バター(製品には「食塩不使用」と表記)で、冷凍保存され、製菓・製パン(パイ、クロワッサン |
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など)に使われています。 |
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バターの需給と機構の役割
国内の生乳生産が猛暑などにより減少したり、牛乳やヨーグルト等の需要が急に増えたりすると、結果としてバターや脱脂粉乳に仕向けられる生乳が減少することから、バターなどの生産に影響が出ることになります。
平成23年度は、前年度の夏場の猛暑、そして東日本大震災の影響により生乳生産が落ち込んだことから、バターの生産に仕向けられる生乳の量が減ってバターの生産が減少し、国内の生産だけではバターの需要を満たすことができないような状況になりました。
当機構は、毎年、ガットウルグアイラウンドという国際交渉の結果、日本が約束した13万7千トン(生乳換算)の乳製品について、国内の需給に悪影響を与えないよう、乳製品の種類、数量を決定し輸入を行っています。(これをカレントアクセスといいます。)
機構が輸入したバラバター。検査機関による品質検査の様子です。
当機構が輸入するバターは、主にアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパなどからのもので、保存期間が長い冷凍のバラバターです。
このバラバターを需要者に供給することで国内における業務用のバラバターの需要が満たされることになり、乳業メーカーはポンドバターや家庭用バターの製造にウェイトを置くことができます。
これにより、国内のバター全体の需要が満たされていくという効果が期待できます。
このように生乳の生産動向や牛乳・ヨーグルトなどの需要の動向等の結果を受けて最終的に生産されるバター等の乳製品は、生乳需給の調整弁としての役割をも担っており、全国の酪農家の経営安定にも役立っています。
((財)消費科学センター「消費の道しるべ」(平成24年7月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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