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異性化糖の話

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最終更新日:2014年11月21日

異性化糖ってなに?

異性化糖の組成図

 暑い夏、清涼飲料水を飲むと、缶の成分表に「果糖ぶどう糖液糖」と書かれているのをご覧になったことはありませんか。これは異性化糖という甘味料の一種で、砂糖と比べるとキレのある爽やかな喉越しです。異性化糖には同じような名前の「ぶどう糖果糖液糖」というのもありますが、こちらはぶどう糖が果糖より多く含まれています。ぶどう糖と果糖のどちらが多く含まれているかで、名前の順序が違うというわけです。

 砂糖やぶどう糖の甘味は温度によってさほど変化しないのに対し、果糖は冷やした方が甘みを強く感じることから、清涼飲料水には果糖を多く含んだ「果糖ぶどう糖液糖」がよく使われるようです。
普段私たちが砂糖と呼んでいるショ糖は、ぶどう糖と果糖の分子が一つずつ結合した結晶です。これに対し、異性化糖は果糖とぶどう糖の分子が混ざっただけの液体です。
 
 果糖は、りんごや西洋ナシなどの果物や蜂蜜に多く含まれていて、甘味度は砂糖の1.7倍程度です。ぶどう糖は、動植物の重要なエネルギー源で、ぶどうや柿などに多く含まれています。

異性化糖の作り方

 この異性化糖、聞き慣れない名前かもしれませんが、砂糖がサトウキビやてん菜を絞って作られるのに対し、異性化糖はとうもろこしやじゃがいも、さつまいもなどに含まれるでん粉から作られます。
 でん粉を分解してぶどう糖にした後、ぶどう糖の一部を酵素で果糖に変換(「異性化」)して異性化糖は作られます。
 植物は光合成によってぶどう糖をつくり、でん粉の形で養分を蓄えます。ですから逆にでん粉を加水分解すればぶどう糖に戻せるのです。ただ、ぶどう糖は砂糖の7割程度の甘みしかないので、酵素の力を借りてぶどう糖の一部を甘みの強い果糖に変えるというわけです。

異性化糖が普及したわけ

 この異性化糖は、日本の研究者が、砂糖の代替として、1960年代後半、世界に先駆けて大量生産の道を開いたものです。当時キューバ革命により砂糖を輸入できなくなった米国の大手清涼飲料メーカーがこれに着目して、世界的に売り出した結果、広く普及するようになりました。

生産者の皆さんを支援

 とうもろこしでん粉(コーンスターチ)から作られるので、「高果糖コーンシロップ(HFCS)」と呼ばれます。  日本では、輸入とうもろこしから作られるコーンスターチのほかに、北海道で栽培されたじゃがいもや、鹿児島県で栽培されたさつまいもから作られた国内産でん粉も原料として使用されており、特に鹿児島県産のかんしょでん粉の主な用途になっています。  北海道のばれいしょは、麦類、豆類、てん菜とともに輪作体系には欠かせない作物であり、鹿児島県のかんしょは、干ばつ被害を受けやすいシラス土壌で、台風も常襲する厳しい環境のなかで農家の経営を支える重要な作物です。  ところが国内産いもでん粉は、輸入とうもろこしを原料とするコーンスターチや安価な輸入でん粉と比べると大きな価格差があります。
 そのため、alicでは、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づいて、コーンスターチ用とうもろこしやでん粉の輸入の際に、内外価格差を調整するための調整金を徴収し、これを財源として、でん粉原料用いもの生産者や国内産いもでん粉製造事業に交付金を交付することで、生産者の方々を支援し、でん粉の生産・供給体制の安定を図っています。


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