「野菜をめぐる需給状況」について
最終更新日:2015年11月15日
今回は「野菜をめぐる需給状況」について取り上げます。
野菜の生産動向
野菜の作付面積は、農業従事者の減少や高齢化の進行(65歳以上の就業者が約4割/平成22年)等により減少傾向で推移しており、平成15年の46万3千haから平成25年には41万9千haへと10%の減少となっています。
これに伴い生産量も減少傾向にありましたが、近年では1200万t前後(平成22年1173万t→平成25年1195万t)で推移しています。
なお、農業総産出額(平成25年8兆5千億円)に占める野菜産出額の割合は、平成25年で26.6%となり、平成15年の23.7%と比べて増加しています。
野菜の消費量
野菜消費は減少傾向にあり、食料需給表(供給ベース)によると平成15年は1人1年当たり96kgが、平成25年は92kgと減少しています。
また、厚生労働省が推進する「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)では1日1人当たりの野菜の摂取目標を350gとしていますが、平成25年国民健康・栄養調査によると271.3gとなっており目標を達成していません。特に20歳代から40歳代での不足が目立っています。
野菜の自給率
野菜の自給率は、平成26年では80%で、平成25年の79%からやや改善しています。また、品目別では、米に次いで自給率が高い品目となっています。
野菜の輸入は、中国産が多く、平成26年の中国からの輸入量(加工品を含む)は、141万tとなり野菜の全輸入量の53%を占めています。
野菜の価格が安定しないのはなぜ?
野菜の生育期間は、種まきから収穫までが約3ヵ月程度となっており、その生育期間中の天候が収穫量に大きく関わっています。
天候が良く晴天が続くとどんどん成長し豊作となりますが、生鮮野菜の多くは保存が利かないため、一時期に消費量を上回る出荷がされ、価格が大幅に低下してしまいます。
逆に、長雨や台風、寒波などにより、生育が遅れ出荷ができず、品薄となると価格が高騰してしまいます。
alicの役割
このように野菜の生産は天候に大きく左右され、価格の低下が続くと野菜農家の所得が確保できなくなり、次期作付以降の野菜の安定的な供給に影響が出ることがあります。
産地では計画的な生産や、出荷調整などにより価格の安定につとめていますが、過去にはやむなく畑に埋めるなどの対応(ほ場廃棄)を行ったこともありました。
そこで、機構では野菜生産出荷安定法に基づいて、価格が大幅に低下した場合に生産者に補てん金を交付しています。
また、需給状況の周知や価格低落時の消費拡大への取組等により野菜の需給安定を図るため、行政、生産者、消費者の代表者で組織される「野菜需給協議会」を開催しています。
野菜を上手に食べましょう!
野菜を多くとっている人は死亡率が低いなどの調査結果も出されています(参照:健康日本21)が、特に若い世代の摂取量が少ない状況となっています。
食の外部化が進む中、摂取量は少なくなりがちであり、意識的に野菜を多く食べるようにすることが必要と考えられています。
また、「夏はきゅうりやトマトを食べて体を冷やすことによりクーラーに過度に頼らず」、「冬はお鍋で暖まり、暖房ほどほど」ということも地球環境に優しく経済的な暮らしといえます。
今一度野菜の効能を見直し、上手な食べ方を探ってみて下さい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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