紅茶と砂糖の出会い〜イギリスのコーヒー・ハウスにて〜
最終更新日:2018年11月20日
皆さんは、紅茶を飲まれるときに砂糖は入れますか?紅茶と砂糖は現代では一般的な組み合わせですが、この組み合わせはいつから始まったのかご存知でしょうか。
今回は、紅茶と砂糖の歴史的な関係を紹介します。
ヨーロッパへの砂糖の伝播
砂糖の起源は、仏教典の記述などからインドとされており、ペルシャ、エジプトへと伝わり、砂糖の生産は、イスラム教徒の進出とともにヨーロッパなどの地域に広く伝播されました。8世紀にはスペインでサトウキビの栽培が始まっています。
また、15世紀末にはコロンブスが、サトウキビの苗を西インド諸島に持ち込み、その後アメリカ大陸へ砂糖をもたらしました。
コーヒー・ハウスの出現
17世紀初めの頃、紅茶と砂糖は薬として売られる高価なぜいたく品でした。
やがて、17世紀中頃からロンドンなどでコーヒー・ハウスと呼ばれる喫茶店に似たものが誕生します。名前の由来は、最初にコーヒー主体の提供だったからですが、次第に紅茶やココアなども提供するようになりました。コーヒー・ハウスは、貴族やジェントルマンの「社交の場」であるとともに、情報交換、議論の場としての役割を果たしていました。
イギリスで砂糖入り紅茶を普及させたのは、このコーヒー・ハウスであろうと言われています。高価な紅茶や砂糖は体面を保つためのステイタス・シンボルとなっていたからです。紅茶と砂糖をあわせて飲むことで、贅沢の極みとして「二重の効果」が期待できました。
17世紀のロンドンのコーヒー・ハウスの様子
砂糖の大量消費
17世紀は高価であった紅茶と砂糖も、カリブ海における砂糖のプランテーションの展開やアジアからの紅茶の輸入が盛んになったことで19世紀になると庶民にも定着し、紅茶に砂糖を入れて飲むことで砂糖は大量に消費され、イギリスでは欠かせない国民的飲料になりました。
今日では、世界の人々が砂糖入りの紅茶を飲んでいますが、これはコーヒー・ハウスでの習慣が広がっていったからなのです。
現代日本で砂糖を安定供給するための取組
わが国で消費される砂糖(年間190万トン弱)の約3分の1は、沖縄県や鹿児島県、北海道において栽培されるサトウキビやてん菜から作られ、残りの約3分の2は、海外から輸入された原料糖など(輸入糖)で賄われています。
alicでは、砂糖の国内生産の維持により、消費者の皆様の生活に欠かせない砂糖の供給が安定的に継続されるよう、海外から輸入される安価な砂糖から調整金を徴収し、これを主な財源として国内のてん菜及びサトウキビ生産者や国内産糖製造事業者を支援しています。
□参考文献
『砂糖の知識』(2005年 砂糖を科学する会発行)
『砂糖の世界史』 (1996年 川北 稔著 岩波書店)
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