氷砂糖あれこれ
最終更新日:2019年8月16日
氷砂糖はショ糖(砂糖の主成分)の大きなひとつの結晶でできており、その形状から「甘い宝石」とも呼ばれています。氷砂糖には、時間をかけてゆっくり溶ける特徴があり、家庭では主に梅酒などの果実酒のほか、煮豆や豚肉の角煮などの煮物を作る際に使用されています。
他にも、ショ糖純度が高くすっきりとした甘みであることから、素材の風味を引き立てたい和菓子などのスイーツにも使われています。
種類と製造方法
氷砂糖にはロック型(凹凸の結晶)とクリスタル型( 16 面体)があります。ロック型は明治時代初期から伝わる従来の製法で、浅い金属製の容器(皿)にグラニュー糖を溶かした濃度の高い液を張り、その中に種となる砂糖の結晶を入れ、成長させた後、砕いたものです。クリスタル型は網目状の仕切がある円筒(クリスタライザーと呼ばれる専用の機械)内に濃いグラニュー糖液、次いで種となる結晶を入れて熱を加えながら回転させて製造したもので、大きさが均一になるため、大量生産に適しています。
(左)ロック型(右)クリスタル型
非常食・備蓄食としての効用
砂糖は、長期保存が可能な食品です。常温でも品質が安定しており、とりわけ氷砂糖はそのまま摂取できることから、災害など万が一のときの非常食、備蓄食としても適していると言えます。
また、登山やマラソンなど、長い時間体を動かす場合の携行食としてもお勧めできます。このようなとき、氷砂糖を摂取する効果としては、一般的に次の3点が挙げられています。
(1)疲労回復
氷砂糖は消化管からの吸収が良好で、素早く脳をはじめとする主要な臓器のエネルギーに変換されるため、災害復旧作業時や運動時の疲労回復に効果があると言われています。
(2)口や喉の渇きを癒す
氷砂糖は後味が良く、口の中でゆっくり溶けていくため、唾液の分泌が促進されやすいと言われています。
(3)精神安定
糖分には、脳を活動させる神経伝達物質で気持ちを落ち着かせてくれるセロトニンの産生を促す作用があるので、精神不安やイライラが緩和されると言われています。
果実酒と氷砂糖
氷砂糖の家庭での代表的な用途は果実酒です。 果実酒を作る際、氷砂糖は果実の重しになり、少しずつゆっくり溶けていき、徐々にホワイトリカー(お酒)中の砂糖濃度を上げてくれます。そのときに生じる浸透圧を利用して果実の中のおいしさ(エキス)を引き出します。
季節ごとの果実(いちご・梅・夏みかん、あんず・びわ、かりん・すだち・ざくろ、きんかん・ゆずなど)と氷砂糖で楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、お酒が飲めない方には、果実と氷砂糖だけで作ればシロップとして楽しめます。
おわりに
alicでは、消費者の皆様の身近な存在である砂糖の供給が安定的に継続されるよう「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、安価な輸入糖及び輸入加糖調製品(砂糖にココア、粉乳、コーヒーなどを混ぜた菓子やアイスクリームなどの原料)から調整金を徴収し、これを主な財源として国内の生産者や製造事業者を支援しています。
また、レシピコーナーなど、砂糖に関する様々な情報をホームページ(消費者コーナー)で提供していますので、ぜひご利用ください。
参考文献
『砂糖の事典』(東京堂出版)、『砂糖類情報(2011年7月号)「非常食としての氷砂糖」』、『梅酒物語』(中日本氷糖株式会社作成)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196