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農場HACCP(ハサップ)取得により安全・安心な和牛を 〜(有)中林牧場〜

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最終更新日:2019年12月20日

 (有)中林牧場は、三重県伊賀市で長年にわたり高品質な伊賀牛(※1)の生産に尽力するとともに、30年前からは、宮崎県児湯(こゆ)郡に開設した児湯支場で子牛生産を行っています。

健康で高品質の伊賀牛生産

 代表の正悦(まさよし)さんは、昭和41年に伊賀牛生産農家の2代目として就農しました。以来、消費者の意見を取り入れて飼料の配合を変えるなどの努力をし、中林牧場の伊賀牛は、常に地域の平均より1頭当たり10万円ほど高値で取引されるようになりました。
 しかし、正悦さんが何より重要と考えるのは、牛を健康に育てることです。体型や四肢を見て健康な子牛を選び、牛がよく眠れる環境を作って、たくさん食べ健康的に太る牛を育てています。
 

口蹄疫をきっかけに農場HACCP導入

 児湯支場では平成26年10月、和牛繁殖農場として国内初の農場HACCP認証を取得しました。このきっかけとなったのが、平成22年に宮崎県で発生した口蹄疫です。
 発生の中心地となった児湯地域全体で牛が殺処分され、感染牛が出なかった中林牧場でも全頭殺処分されました。正悦さんは児湯支場をたたむことも考えましたが、「再建したい」との従業員の声により、やり直すなら世間にない安全・安心な取り組みをと農場HACCP導入を決めました。
 農場HACCPとは、農場の衛生管理向上による畜産物の安全確保のため、管理ポイントを設定して監視・記録を行い、農場段階で危害要因をコントロールする手法です。
 農場HACCPの導入効果としては、出荷する和牛の安全性確保はもちろん、作業に従事する皆の意識が変わったことだそうです。小さなことでも問題が発生すればすぐ集まり解決する土壌ができました。従業員との風通しがよくなり、双方が納得して和牛生産に携われるようにもなりました。
 現在は、本社農場でも農場HACCP認証を受け、児湯支場ではJGAP(※2)も取得しています。

和牛の増頭に貢献するために

 本社農場では平成27年度に国やalicの事業の活用により、畜舎の新設と作業効率化のため
の堆肥処理機械の導入を行い、繁殖雌牛を100頭増頭しました。同時に、肥育中の伊賀牛から採取・作製した体外受精卵を近隣酪農家の乳牛に移植し和牛子牛を生産する取り組みも始めました。口蹄疫以降、繁殖雌牛の減少により和牛の頭数が低迷する中、未経産牛を肥育する伊賀牛生産者としても和牛の頭数増加に貢献しようと始めたものです。
 自社の経営だけでなく、日本の和牛生産に思いを巡らせる中林牧場は、今後も日本の畜産業を支える存在であり続けます。

 alicも日本の畜産農家が安心して経営を続けられるよう、全力で支援に努めてまいります。 
伊賀産肉牛共進会で最高賞をたびたび受賞
伊賀産肉牛共進会で最高賞をたびたび受賞
※1 伊賀産肉牛生産振興協議会の会員農家31戸が、最終飼育地として伊賀地域(伊賀市・名張市)で最長かつ12か月以上肥育して出荷する黒毛和種の未経産牛。年間出荷頭数約1200頭、その8割が農家の庭先で地域の精肉店と生体取引され、地元で消費される希少な牛肉。

※2 食の安全や環境保全、労働安全等に取り組む農場に与えられる認証で、農林水産省が導入を推奨する農業生産工程管理手法の一つ。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196