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金平糖とボンボニエール

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最終更新日:2020年2月17日

即位式でも話題のボンボニエール

 昨年の10月に天皇陛下の即位礼正殿の儀が執り行われ、日本中が祝福ムードに包まれたことは記憶に新しいですね。御即位を記念して招かれた方々に配られた「ボンボニエール」が話題になりました。
饗宴(きょうえん)の儀の際、配られたボンボニエール
饗宴(きょうえん)の儀の際、配られたボンボニエール
 「ボンボニエール」とは皇室の慶事の際に配られる、小さな工芸品の引き出物です。もともとはヨーロッパで子供の誕生や結婚式などの祝事の際に砂糖菓子(bonbon)が配られ、その砂糖菓子を入れる容器をボンボニエール(bonbonniere)と呼ぶことから、日本の皇室の引き出物も「ボンボニエール」と称されるようになりました。
 では、このボンボニエールに入れられた砂糖菓子は何だったのでしょうか?
 
 それは、金平糖です。

金平糖の製法

 金平糖は、17世紀初頭にポルトガルから伝来した伝統的な砂糖菓子です。核となるザラメに、グラニュー糖と水を混ぜて熱して作った糖蜜をかけて、斜めに傾いた釜を回転させながら少しずつ大きくし、2週間ほどかけて作られます。一見単純な製法に思えますが、そこには職人の熟練した技と手間が必要です。
金平糖を作る職人

縁起の良いお菓子

 このように金平糖は、長い時間をかけてじっくり作られる工程が小さなものから新しい家庭を築いていくという夫婦の姿と重なることや、皇室の結婚式でも配られていることから、縁起物として今も結婚式や出産など慶事の際のプチギフトに好まれています。
 では、いつごろから皇室のボンボニエールに金平糖が使われるようになったのでしょうか。
 明治27年の皇室最初の公式ボンボニエールの中に入っていたものについて、当時の記録では「菓子は小粒の五色豆の如きを入れたり」とあることから、5色の小さな菓子が入れられていたことが分かります。それがおそらくは金平糖だったと思われます。
 100年以上も前から、そして現在の皇室のボンボニエールにも、5色の小粒の金平糖が入っています。
中には5色の金平糖が入っています
中には5色の金平糖が入っています

金平糖の進化

 最近では、金平糖に果物やお酒などを加えたさまざまな味の金平糖が販売されています。また、パッケージも、ガラス瓶に入ったものから、桐箱入りの高級感溢れるものまで、選ぶ楽しみもあります。食べ比べも楽しいですね。

おわりに

皆様、最後に金平糖を食べたのはいつごろでしょうか?
子供からお年寄りまで世代を問わず愛されている伝統的なお菓子である金平糖。慶事の際の贈り物のみならず、普段のお茶請けや手土産として、金平糖を選んでみてはいかがでしょうか。
ワンポイントアドバイス
□参考文献
『砂糖類・でん粉情報(2018年3月号)「皇室の菓子器「ボンボニエール」」』
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196