安定的なチーズ生産を行うために 〜国産チーズ生産奨励対策への取組〜
最終更新日:2023年12月19日
いまや食卓に欠かせない食材となったチーズ。地域性や独自性を生かして付加価値を高められる農産物として期待されています。ここでは、現在の国産チーズをめぐる状況などを紹介します。
国産チーズの本格生産
現在私たちが目にするような西洋型チーズの生産が国内で始まったのは明治に入ってからでした。明治8年(1875年)に北海道の七重勧業試験場で生産されたのが日本で最初の西洋型チーズで、当時は「乾酪(かんらく)」と呼ばれていました。
本格的にチーズ生産が始まったのは昭和初期に入ってからで、昭和9〜11年(1934〜36年)にプロセスチーズが大量生産され、販売が開始されました。その後、戦争の混乱のなかで生産が滞り、ようやく一般家庭に広まったのは戦後のこと。食生活の洋風化や生活水準の向上とともに消費量も増加していきました。
チーズの種類
チーズの種類別の表示を見ると、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があります。ナチュラルチーズは、原料となる乳(牛のほかに山羊や羊の乳も)を酵素などで固まらせたもので、ナチュラルチーズを加熱・融解して製造したものがプロセスチーズと言われます。日本では、ナチュラルチーズは、口当たりが良く生乳の風味が楽しめるものや比較的クセのないものが好まれる傾向にあり、フレッシュタイプやハードタイプ、白カビタイプを中心に様々なチーズが生産されています。
チーズ消費量の増加
チーズ需要は緩やかに増加してきました。国内におけるチーズの総消費量は2022年度には約34万トン(国民一人当たり換算で2.5kg)となっており、10年前の約29万トン(同2.2kg)と比較すると、約14%増加しています。
国産チーズ生産の動向
チーズの需給表(農林水産省)によると、チーズ総消費量に占める国産化率は、2022年度において、約15%にとどまっており、安価な輸入品が約85%となっています。他方で、チーズ工房の数は年々増加しており(10年間で約2倍)、日本各地で特色ある国産チーズ作りを展開しています。そのようなチーズの中には、国際的なチーズコンテストで上位入賞するものも出てきており、国産チーズの評価も着実に向上してきていることが伺えます。
alicの取組
alicでは、チーズの味や歩留まりに影響する原料乳について、実需者が求める高い品質を酪農家が確保するため、更なる飼養管理の高度化や乳質管理に取り組む費用の一部を補助しています。これらの取組を通じて、国産チーズの更なる品質の向上、国際的な競争力の強化につながることが期待されています。
終わりに
読者の皆様もチーズは非常に身近な食材に感じているのではないでしょうか。きっとあなたの近くにも特色あるチーズ作りを行っているチーズ工房があるはずです。何かの機会に、是非、訪ねてみてはいかがでしょうか。
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