業務の解説・トピックス
最終更新日:2009年10月16日
でん粉の基礎知識(3)について
(独)農畜産業振興機構(ALIC)は皆さんの食生活に関連した情報をお届けいたします。
今回は、鹿児島県で多く作られているさつまいもを原料とした「かんしょでん粉」について取り上げます。
かんしょでん粉の始まり
現在のかんしょでん粉の主産地は鹿児島県ですが、発祥地は千葉県といわれています。
天宝5年(1834年)、くずでん粉の代用品として、さつまいもを大根おろしで摺りおろし、でん粉を製造したことが始まりとされています。また、九州地方では明治30年頃、現在の長崎県大村地方が最初とされています。
鹿児島県では、当初は自家用の餅とり粉や食用を目的に作っていましたが、明治26年、現在の西之表市(種子島)で販売用でん粉の製造が始まりました。
大正以降になると、さつまいもの生産は急速に増加し、昭和39年には県内で操業する工場数は410に達しました。
しかし、その後の高度経済成長による都市部への人口流出、農村の過疎化等による生産量の減少や排水の水質規制強化等により、工場は急激に減少し、平成21年4月現在、19工場が操業しています。
(参考・さつまいも小事典)
かんしょでん粉の生産量
平成19年産さつまいも作付面積は全国で約41千haあり、そのうち約3分の1(14千ha)が 鹿児島県で生産され、その生産量は、全国の約38%(370千トン)を占めています。
このうち、かんしょでん粉の生産量は45千トン(対象、九州地方/17千ha)あり、食用のほか、幅広い用途で使用されています。
でん粉を使った様々な郷土料理
鹿児島県では、様々な料理でかんしょでん粉が利用されています。
今回は鹿児島県の定番おやつ「からいもだんご」の作り方を紹介します。
○材料
かんしょでん粉(片栗粉でも代用可)20g、さつまいも、紫いも各1本、団子粉300g、薄力粉40g、砂糖90g、酢小さじ1、塩少々、竹の皮4枚
○作り方
(1)さつまいもと紫いもはそれぞれ皮をむいて蒸し、熱いうちにつぶします。
(2)(1)に残りの材料を半量ずつ加えて混ぜ、耳たぶくらいの硬さになるまでこねます。
(3)それぞれを小分けして竹の皮に包み、蒸し器で20分蒸します。
(4)器にのせ、飾りつけて出来上がりです。
*ワンポイント*
紫いもは甘味が薄いので、お好みで砂糖の量を調節してください。きなこや黒蜜をかけてもおいしいです。
機構の業務について
国内産いもでん粉は北海道の農業の輪作体系の一つであるばれいしょと、南九州(鹿児島・宮崎)のシラス台地における※基幹作物のさつまいもを原料に生産されていますが、安価な輸入でん粉や輸入とうもろこしを原料とするコーンスターチと比べると大きな価格差があります。これを受けて、当機構は用途が競合するでん粉及びコーンスターチ用とうもろこしの輸入の際には、内外価格差を調整するための調整金を徴収し、これを財源として、でん粉原料用いもの生産者や国内産いもでん粉工場に対する支援(交付金の交付)を行っています。
こうした業務を通じ生産者の方々を支え、でん粉の生産・供給体制の安定を図っています。
※基幹作物:その地域における中心となる作物
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成21年7月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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