業務の解説・トピックス
最終更新日:2009年3月23日
「でん粉の基礎知識」(2)について
(独)農畜産業振興機構(ALIC)は皆さんの食生活に関連した情報をお届けいたします。
さて、今回は前回号に引き続き「でん粉の基礎知識」についてお伝えします。第2回は「でん粉の用途等について取り上げます。
でん粉の用途
でん粉は「つなぎ・結着剤、接着剤」としての特徴を利用し、食品用から工業用まで幅広く利用されています。
また、でん粉を分解した糖化製品は、異性化糖・水あめ等のいわゆる“甘味料”としても使用され、さらに発酵原料としても利用されています。
でん粉の用途
用途例(1)〈直接利用等〉
食品用の「つなぎ」としては、伝統的なかまぼこやちくわ等の水産練製品やソーセージ・プレスハム等の畜肉加工品に、ばれいしょでん粉や小麦でん粉が使用されています。
「つなぎ」以外にも、でん粉は食感改良(春巻きのぱりぱり感の保持等)の働きなどがあり、でん粉と化工でん粉(でん粉を化学処理し、粘着力の強化等をしたもの)の両方が使用されています。また、春雨はでん粉を主原料として、麺類のうどん、即席麺や冷凍麺などにも一定量が使用されています。この他にもビール、調味料では発酵原料として使われています。
工業用は、製紙向けに主にコーンスターチやその化工でん粉が使用されています。
製紙用は、紙の印刷適性・強度の向上のための処理(サイジング)や、顔料として紙にコーティングするために使用されています。また、繊維強化・糊のような艶とハリを持たせるためのサイジング剤(糊剤)としても使用されています。
用途例(2)〈糖化製品〉
でん粉は、ぶどう糖が多数結合した天然の高分子の炭水化物で、これを分解して、水あめ、麦芽糖、ぶどう糖、果糖などの糖化製品が生産されており、清涼飲料、菓子、冷菓、調味料など多くの食品で利用されています。
最も生産量が多いのは、異性化糖(ぶどう糖果糖液糖)です。これは、砂糖と同等の甘味度があり、低温でも変わらないことから炭酸飲料等の清涼飲料で利用されています。
他にもぶどう糖や水あめとして、医薬用、化粧品用、発泡酒の発酵原料などにも使用されています。
機構の業務について
このような用途に使用される日本のでん粉需要は、現在約3百万トンですが、その6割強を糖化製品向けの需要が占めています。
国内産いもでん粉は、北海道の農業の輪作体系の一つであるばれいしょと、南九州(鹿児島・宮崎)のシラス台地における基幹作物のかんしょを原料に生産されていますが、安価な輸入でん粉や輸入とうもろこしを原料とするコーンスターチと比べると大きな価格差があります。これを受けて、当機構は用途が競合するでん粉及びコーンスターチ用とうもろこしの輸入の際には、内外価格差を調整するための調整金を徴収し、これを財源として、でん粉原料用いもの生産者や国内産いもでん粉工場に対する支援(交付金の交付)を行っています。
こうした業務を通じ生産者の方々を支え、でん粉の生産・供給体制の安定を図っています。
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成21年1月号)に掲載)
ジャガイモ畑(でん粉の原料作物)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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