業務の解説・トピックス
最終更新日:2009年3月24日
「野菜をめぐる需給状況」について
(独)農畜産業振興機構(ALIC)は皆さんの食生活に関連した情報をお届けいたします。
さて、今回は「野菜をめぐる需給状況」について取り上げます。
「野菜の生産動向」はどのようになっていますか?
野菜の作付面積は、農業就業人口の減少や生産者の高齢化の進行(65歳以上の就業者が約4割/平成17年)、輸入野菜との競合が強まっていることから減少傾向で推移しており、平成9年の51万6千ヘクタールから平成18年には44万3千ヘクタールへと15%の減少となっています。
これに伴い生産量も平成9年の1436万トンから平成18年には1236万トン(14%減少)と減少しています。
ただし、農業総産出額(平成18年8兆3千億円)に占める野菜産出額の割合は、過去と比べて増加しています。(平成18年24.8%)
「野菜の消費量」はどのようになっていますか?
野菜の消費量は減少傾向(平成8年は、1人1年当たり105キログラムが平成18年95キログラム)で推移しています。
また、厚生労働省が推進する「21世紀における国民健康づくり運動」(健康21)では1日1人当たりの摂取目標を量350グラムとしていますが、平成18年の国民栄養調査によると303.4グラムとなっており目標を達成していません。
「野菜の自給率」はどのようになっていますか?
農業産品の中でも高いとされていた野菜の自給率は、平成19年(概算)では81パーセントで、平成18年の79パーセントからやや改善しています。
野菜の輸入は、中国産が多く、平成19年の中国からの輸入量は、生鮮もの、冷凍、塩蔵、乾燥などの加工野菜合計で141万トンとなり野菜の全輸入量の56%を占めています。
なお、中国産冷凍ギョウザ問題の影響もあり、平成20年1〜7月の中国からの輸入量は、生鮮野菜が前年同期比80%、加工野菜が同90%と減少しています。
「野菜の価格が安定しない」のはどうしてですか?
野菜の生育期間は、播種から収穫までが約3ヵ月月程度となっており、その生育期間の中の天候が収穫量に大きく関わっています。
天候が良く晴天が続くとどんどん成長し豊作となりますが、生鮮野菜の多くは保存が利かないため、一時期に消費量を上回る出荷がされ、価格が大幅に低下してしまいます。
逆に、長雨や台風、寒波などにより、生育が遅れ出荷ができず、品薄となると価格が高騰してしまいます。
農畜産業振興機構の役割
このように野菜の生産は天候に大きく左右され価格の低下が続くと、野菜農家の所得が確保できなくなり、次期作付以降の野菜の安定的な供給に影響が出ることがあります。
産地では計画生産や、出荷調整などにより価格の安定につとめていますが、やむなく畑に埋めるなどの対策(ほ場廃棄)を行う場合も発生します。
そこで機構では、野菜生産出荷安定法に基づいて価格が大幅に低下した場合に生産者に補てん金を交付しています。
また、需給状況の周知や価格低落時の消費拡大への取組等により野菜の需給安定を図るため、行政、生産者、消費者の代表者で組織される「野菜需給協議会」や「野菜需給店価格情報委員会」を開催しています。
野菜を上手に食べましょう!
野菜を多くとっている人はがんに罹るリスクが低いなどの調査結果も出されていますが、特に若い世代の摂取量が少ない状況となっています。
食の外部化が進む中、摂取量は少なくなりがちであり、意図的に多く食べるようにすることが必要と考えられています。
また、「夏はきゅうりやトマトを食べて体を冷やすことによりクーラに過度に頼らず」、「冬はお鍋で暖まり、暖房ほどほど」ということも地球環境に優しく経済的な暮らしといえます。
今一度野菜の効能を見直し、上手な食べ方を探ってみて下さい。
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成20年9月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 広報消費者課 (担当:藤原)
Tel:03-3583-9709