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業務の解説・トピックス

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最終更新日:2009年3月23日

牛肉・子牛価格の低迷と肉牛農家への支援について

 牛肉は、私たちの食生活にとって大切な食品ですが、これらを提供する牛を飼養する肉用牛農家は「平成の畜産危機」といわれる状況に直面しています。
 今回は肉用牛農家の経営を理解する上で不可欠な肉用牛のライフサイクルと当機構の肉牛農家経営の支援事業についてお話ししたいと思います。

出生〜出荷まで約30ヶ月

 肉牛のライフサイクルについて和牛を例に説明すると、繁殖農家(母牛を飼養し、子牛生産を行い販売する経営)で生まれた子牛は、9カ月齢前後で家畜市場などを経由して、肥育農家(育成・肥育を専門に行う農家)に供給されます。その後、肥育農家で約20カ月肥育し、700Kg程度まで育て上げます。
 出荷された牛は、卸売市場に併設されていると畜場などで枝肉(皮をはいだ後、内臓等を除去したもの)に処理されます。
肉用牛のライフサイクル(和牛の場合)
肉用牛のライフサイクル(和牛の場合)

低迷する最近の枝肉と子牛価格

 卸売市場での価格は、このところの不景気にともなう業務用需要の減少、内食化、豚肉や鶏肉などの低価格食肉へのシフトにより、牛枝肉の卸売価格が急落しています。代表的市場である東京市場の去勢和牛の卸売価格は、中級品については、18年12月頃から、また、高級品については、それから1年ほど遅れて、前年同月を下回るようになりました。21年1月の去勢和牛の平均価格は枝肉1Kg当たり1915円(前年同月比▲10.2%)となっています。
 また、肉用子牛の価格は、家畜市場での取引により決まりますが、枝肉の卸売価格に連動する形で19年秋頃から、前年を下回るようになり、21年1月の黒毛和牛1頭当たりの平均価格は36万円と前年同月に比べ25%、12万円も下げています。

長期肥育による農家への影響

 今年1月に成牛を出荷した肥育農家は、子牛を約20ヶ月前の19年4月頃に購入していますが、当時の子牛価格は50万円を超える高水準にあり、その後の配合飼料価格の高騰などにより、現在出荷する肥育牛の生産コストは、低迷を続ける枝肉価格では、とても補える状況にはありません。

肉牛経営の安定策

 このような状況下で肥育農家の経営安定を図るため、「肉用牛肥育経営安定対策事業」等を実施しています。この事業は、生産者と国(機構)が基金を造成し、肥育牛販売によって得られる所得が家族労働費を下回った場合に、その差額の8割を基金から補てんし、肥育経営の維持が可能となるように支援するものです。また、肉用子牛についても、再生産に必要とされる価格を下回ったときに、差額を補てんすることにより繁殖農家の経営安定の支援を行っています。
和牛イラスト
 当機構としては、これらの制度の円滑・適正な執行にあたるとともに、肉用牛経営者のコスト削減への取組を支援することにより、自給率の維持・拡大、国内産牛肉の安定供給などと我が国の自然環境の維持に貢献して参りたいと考えております。


(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成21年3月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 広報消費者課 (担当:藤原)
Tel:03-3583-9709