終戦後、我が国には僅かな砂糖しかなく、1952年(昭和27年)まで配給制となりました。食料難の状況にあった国民にとって甘味は、非常に貴重な存在でもありました。
一方、その需要に対して配給される砂糖だけでは補えない状況であったため、一時期ズルチンやチクロなどの人工甘味料が使われましたが安全性の面から使用禁止となりました。
やがて戦後の復興とともに砂糖の消費量は飛躍的に伸び、1人あたりの年間消費量は1973年(昭和48年)には29キロまでになりましたが、「肥満」「糖尿病」の原因や「キレる」など、砂糖に対する誤解、甘味の嗜好の多様化(微糖・甘さ控えめ等)などからか、現在は、20キロ程度となっています。
砂糖は昔、薬として貴重な品であったばかりか、高価な贅沢品でしたが、現在では身近な生活必需品であり、あらゆる食品に使用され日本人の食生活を豊かにしています。この機会にもう一度安全で安心な自然食品として、そして健康に欠かせない砂糖の大切さを再認識していただければ幸いです。
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成21年11月号)に掲載)