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でん粉の利用と活用

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最終更新日:2011年3月31日

 (独)農畜産業振興機構(ALIC)から、皆様の食生活に関連した情報をお届けしています。 
 今回は「でん粉」について取り上げたいと思います。

 でん粉は、糖化製品、ビール、水産練り製品、菓子、調味料など「甘味料、つなぎ、食感改良」として、幅広い食品に使われており、食品産業に欠かせない原料となっています。また、工業製品として「製紙用のり、医薬品、化粧品」などに幅広く利用されています。

 今回は、毎日の食生活に欠かせない加工食品に利用されているでん粉の種類と役割についてご紹介しましょう。
グラフ1(でん粉の利用と役割)

◆加工食品とでん粉の種類と役割

◇糖化製品

菓子(でん粉の利用と役割)
 異性化糖・水あめなど糖化製品(甘味料)に、コーンスターチ・かんしょでん粉が使用され、でん粉の需要量の約65%を占めます。糖化製品は、清涼飲料、菓子、冷菓、調味料など多くの食品で利用されています。

◇水産練り製品

 かまぼこ・ちくわなどの水産練り製品の特徴である独特な弾性を持たせるため、主にばれいしょでん粉が使用されています。

◇畜産加工品

ソーセージ(でん粉の利用と役割)
 ソーセージ・プレスハムのつなぎとして、ばれいしょでん粉・小麦でん粉が使用されています。

◇菓子

和菓子(でん粉の利用と役割)
 洋菓子や和菓子には、主に食感の改良にモチモチとした食感を出せるタピオカでん粉が用いられています。小麦でん粉も少量使用されています。また、高級和菓子にくずでん粉が用いられています。

◇はるさめ

 鍋には欠かせない食材の一つです。原材料は主にばれいしょでん粉が使用されています。はるさめは、でん粉が85%使用され残りが水分であり、ほぼ純粋なでん粉食品であり、熱により糊化が過ぎると食感が悪くなります。

◇ビール

ビール(でん粉の利用と役割)
 ビールには麦芽100%のビール以外はコンスターチが副原料として使用されています。ビールは麦芽を発酵させ作りますが、コーンスターチはビールの味を調整し消費者の嗜好に合わせたビールを醸造するのに役立ちます。

◇ソース・たれ

 ソースや焼き肉のたれなど各種のたれ類は、使い勝手がよいのでどろっとした粘性を持たせるためでん粉を副材料として使用しますが、主にタピオカでん粉が用いられています。


 このようにでん粉は、食品に欠かせない材料となっています。

◆国内産でん粉を支える

 日本のでん粉の需要量は、約265万dで、うち85%が、輸入トウモロコシを原料とするコーンスターチとなっています。

 国内で生産されるでん粉は約10%に過ぎません。国内産いもでん粉は、北海道の輪作体型の1品目であるばれいしょと、南九州(鹿児島・宮崎)のシラス台地における基幹作物であるかんしょと、それぞれの地域で重要な作物として栽培されています。
 一方、国内産いもでん粉と安価な輸入でん粉やコーンスターチとの間に大きな価格差があります。

 ALICはこのような内外価格差を「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき調整し、でん粉原料用いもの生産者や国内産いもでん粉の製造事業者への支援(交付金の交付)を行っています。こうしたALICが実施する価格調整により、安定的に消費者の皆様に提供されています。
グラフ2(でん粉の利用と役割)
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成23年2月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196