豚肉の生産と農家への支援について
最終更新日:2011年9月21日
豚肉は、年間一人当たり11.5kg(牛肉は同5.9kg、鶏肉は同11kg)と食肉の中でも最も多く消費されるなど、私たちの食生活にとって欠かせない食品です。また、そのおよそ半分が家庭で消費され(牛肉は同34%、鶏肉は同37%)、残りはハム・ソーセージなどの加工品や外食です。
加工品や外食部門では、米国、カナダなどからの輸入豚肉も多く使用されており、1年間に流通する豚肉163万トンのうち70万トンを輸入品が占めます。
今回は、私達の食卓を彩る豚肉となる肉豚のライフサイクル、肉豚の飼料、及び養豚農家に対する当機構の支援についてご紹介します。
出荷まで約7カ月
母豚は、1年に約2回(牛は同1回)の分娩が可能で、1回当たり平均10頭の子豚(牛は同1頭)を産みます。
子豚は、出生から約1ヵ月すると離乳され、2ヵ月の育成期を経て、およそ4ヵ月をかけて配合飼料を給餌し、100〜110kgまで肥育されます。
その後、食肉市場や食肉センターでと畜・処理され、卸問屋を経て、小売店の店頭に精肉として並びます。
コストの65%は飼料
畜産経営において生産費に占める飼料費の割合は高く、肥育豚の場合、生産費に占める飼料費の割合は約65%に及びます。配合飼料は、原料の大部分を米国など海外からの輸入に依存しているため、日本で家畜を飼養するためには、多くの輸入飼料穀物が必要とされます。
Q 配合飼料とは? |
A 家畜の種類、生育段階、飼養目的に合わせて、米国からのトウモロコシやミネラルなどを調合して作られた家畜の飼料です。 |
飼料穀物価格の目安となるトウモロコシのシカゴ相場は、世界的な需要の高まりに加えて、投機資金の流入、エタノール需要などから、1年前のおよそ2倍にまで高騰しており、国内の飼料価格にも影響するなど、養豚農家をひっ迫させる要因の一つとなっています。
そのため、養豚農家の一部では、飼料費の低減や飼料自給率の向上のため、耕畜連携や食品残さを活用したエコフィードといった取組が進められています。
Q 耕畜連携とは? |
A 畜産農家と米や野菜を生産する耕種農家が協力し、飼料自給率の向上や資源循環型農業を推進するための取組です。畜産農家の堆肥を耕種農家の農地に還元し、堆肥の利用を促進したり、耕作放棄地や休耕田で飼料用稲(エサ米)を生産したりする取組が推進されています。 |
Q エコフィードとは? |
A 食品製造業から排出される食品の残りや、コンビニやスーパーの消費期限切れや廃棄食品等を再利用して、加工・処理された家畜の飼料です。 |
養豚経営の安定を
豚肉の価格は、夏に高くなり、秋にやすくなるというように、季節によって変動が大きくなっています。このような不安定な豚肉価格による養豚農家の収益の変動を緩和するため、当機構では「養豚経営安定対策事業」を実施しています。
この事業は、豚肉平均価格が生産コストに相当する保証基準価格を下回った場合に、生産者の拠出と国の助成により造成された基金から、その差額の8割を補てん金として農家に交付します。
平成23年度は、機構が養豚農家に補てん金を直接交付する方式を実施することとなり、各種手続を機構と全国の農家の方々とが直接やり取りすることとなりました。
これから暑くなっていきますが、豚肉には炭水化物の代謝を助けてエネルギーを作り、乳酸の代謝を促進したりするビタミンB1などの栄養が豊富に含まれています。夏バテ防止にも、ぜひ豚肉料理を積極的に召し上がってはいかがでしょうか。
(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成23年7月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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