日本の砂糖を支える仕組み
最終更新日:2011年10月6日
砂糖は、お料理やパン・菓子作りなど、とても幅広い用途に使用されており、私たちの暮らしに不可欠な食品です。今年の3月に起きた東日本大震災では、津波で周囲から遮断された宮城県石巻市の小学校で、数少ないお菓子を子供たちに配り、大人たちはスティック袋に入った砂糖をなめて、飢えをしのいだという報道がありました。
私たちが毎日摂取している砂糖は、どのようにして安定供給が図られているのか紹介します。
砂糖と食料自給率
砂糖は国民の摂取カロリー全体の実に約8%を占めています。食生活に不可欠な砂糖は食料自給率40パーセント(平成21年度カロリーベース)のうち、約3%を占め、お米に次いで自給率の維持に大きく貢献しています。
砂糖の原料作物
さとうきび畑
砂糖の原料となるさとうきびは、台風の常襲地帯である沖縄県や鹿児島県南西諸島の島々で栽培され、台風の被害に強いので、島々の農家にとって重要な基幹作物です。また、北海道で栽培されるてん菜は、小麦、じゃがいも、豆類とともに連作障害を防ぐ輪作作物であり欠くことができない重要な作物です。
てん菜
これらの地域には、国内産の砂糖の工場があり、地域経済や雇用確保に大きな役割を果てしています。また、原料作物の栽培地域である北と南は、境界を画しており、多くの離島は広大な200海里水域を形成し、人々が暮らし、砂糖産業が成り立っているからこそ国土が守られているともいえます。
砂糖の価格調整制度
海外から輸入される原料糖は、国内産の砂糖に比べてかなり安いので、このままでは国内産の砂糖は売れません。そこで、国の政策として、海外から安い砂糖が輸入される際に当機構が、輸入者(精製糖企業など)から一定の調整金を徴収し、その調整金を主な財源として国内の農家と国内産の砂糖の工場への支援に充てています。
この仕組みにより、輸入品は調整金の分だけ高く、国内品は交付金の分だけ低くなり、両者の間の価格のバランスがとられ、国内の価格は同じ水準となるようになっています。これが砂糖の価格調整制度です。
また、この制度では、砂糖の国際価格が高騰すると、輸入品からの調整金の徴収額は少なくなり、その結果、砂糖の国内価格への影響が緩和される仕組みとなっています。
消費者とともに支える日本の砂糖
このように、砂糖の国際価格の高騰は、その一部が消費者に届く間に制度の仕組みや様々な企業努力によって緩和されることとなりますが、残りの部分は最終的には小売価格に転嫁され消費者が負担することとなります。
私たちがお砂糖を買うと、まわりまわって沖縄のさとうきび畑や北海道のてん菜畑が守られることになるのです。あま〜いお砂糖が入った袋には、消費者に安定的にお砂糖を届けるための、さまざまな仕組みも詰まっているのです。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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