生活に密着する「でん粉」のお話
最終更新日:2011年11月9日
でん粉と言えば。。。
そう言ってもなかなかイメージがわかない存在であるかもしれません。
片栗粉、水あめなどの原材料としてお馴染みですが、それだけではありません。
でん粉は何からできているの?
そもそもでん粉は、何からできているかご存知ですが?南米・東南アジアなどの熱帯地域ではキャッサバからタピオカでん粉、豪州・フランスでは小麦からでん粉が製造されています。日本では、北海道のばれいしょ、鹿児島の甘しょ(さつまいも)がでん粉の原料として使用され、それぞれの特性を活かして、さまざまな用途に用いられます。そして、全世界のでん粉生産量のうち8割を占めるのが、とうもろこしから製造されるコーンスターチです。
日本においては、供給されるでん粉265万トンのうち、輸入トウモロコシを原料とするコーンスターチが225万トン(約85%)となっています。皆さんのご家庭で、直接コーンスターチそのものを購入することはなかなかないと思いますが、それではどこで使われているのでしょうか?
コーンスターチは多方面で大活躍
コーンスターチは、いろいろな形に姿を変えて、私たちの身近なところで活躍しています。 例えば、ワイシャツなどのクリーニングに用いられる糊は、コーンスターチが原料です。段ボールの接着剤や紙のコーティング剤としても使用され、製紙・段ボール製造には欠かせません。また、医療用としても飲み薬を錠剤の形にする際も使用されています。
当然、とうもろこし由来のコーンスターチは、食品界でも大活躍!ジュース。アイスクリームで使用される糖類の原料として、ソーセージなど畜産加工品のつなぎとして、さらにパンやケーキにふんわりとした食感を出すために用いられるなど、コーンスターチを利用した食品は数多くあります。最近では、ビール系飲料の多様化が進み、店頭にも発泡酒が多く並んでいますが、これらの副原料としても使用されます。
ビールとコーンスターチの関係 |
ビールの主な原料は、麦、水、ホップですが、いわゆる「麦芽100%」でなくとも、法律上ビールに分類されます。麦芽とホップ以外の原料を副原料と言い、コーンスターチなどが使用され、「味が軽くなり、すっきりする」とされています。また、麦芽使用率を66%以下にしたものが発砲酒となります。 |
でん粉原料は地域の基幹作物
一方、国内産でん粉に目を向けると、その供給量は、北海道のばれいしょでん粉が20万トン、鹿児島県などの甘しょでん粉が5万トン、合わせて25万(国内全供給量の約10%)となります。供給量全体に占める比率は小さいものの、原料となるばれいしょ、甘しょは地域の農業を支える重要な基幹作物として位置付けられており、地域経済において重要な役割を担っています。
北海道のばれいしょでん粉は片栗粉のほか、コーンスターチ同様、多様な食品用途に使用されています。鹿児島の甘しょでん粉は、菓子などに使用される糖化用の原料などとして使用されてきましたが、最近では、かんしよでん粉を原料とした冷麺等、新しい商品開発が行われています。
ALICでは、消費者の皆様の身近にあるでん粉の供給が安定的に継続されるよう、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、国内のでん粉原料生産者及びでん粉製造事業者の支援(交付金の交付)を実施しています。なかなか主役として脚光を浴びることのないでん粉ですが、日本人の生活を支える縁の下の力持ちとして、今後とも是非ご注目ください。
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