でんぷんの原料作物について
最終更新日:2012年10月29日
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今回は食料、練製品等の食品だけでなく、のりや段ボールなど幅広い分野で使われる「でん粉(でんぷん)」の原料作物について取り上げます。
植物からでん粉
植物は、光合成を行って作ったエネルギーをでん粉に変えて蓄積するのが一般的です。そして、でん粉を貯蔵する部位は、種子、茎、根など植物によって異なります。
また、江戸時代までは、葛(くず)、蕨(わらび)、片栗が日本のでん粉の代表的な原料でしたが、でん粉が工業的に大量生産されるようになると、とうもろこし、馬鈴薯(ばれいしょ)、甘藷(かんしょ)などの食用作物が多く利用されるようになりました。
でん粉の特性
でん粉の最大の特性は、水を加えて加熱し、一定の温度以上に達すると、その粒子が水を吸収し始めて膨張することです。その膨張が最大になると崩壊して分散します。この現象は糊化(こか)と呼ばれ、粒子が水を最大限に吸収した時に粘度は最大となり、粒子が崩壊すると粘度は低下します。
原料作物別の特徴
でん粉は、様々な天然の植物を原料として作られています。そのうち、主なものを紹介します。
(1) 米でん粉
粒が非常に小さく、糊化後は安定した低い粘度を示すのが特徴です。高価なことから、綿布の模様の染め抜きや化粧品など特定の用途に使用されます。
(2) 小麦でん粉
加熱温度、時間に対して均一な粘度を保持し、更に粘度の高い大粒と粘度の低い小粒にはっきりと分離できる特徴があります。水産練製品や繊維用のりなどに使用され、特に関西では蒲鉾のソフト感を引き出すためによく使われます。
(3) コーンスターチ
とうもろこしのでん粉で、粒は米でん粉より大きく、よく揃っています。糊化後の粘性は安定しており、安価で品質も一定なので、糖化用、製紙、段ボール、ビール、化工でん粉などに使用されます。
世界で生産されるでん粉のおよそ八割は、とうもろこしから作られると言われています。
(4) 馬鈴薯でん粉
市販のでん粉ではもっとも粒が大きく、糊化温度が低くて最高粘度が高いのが特徴です。更に保水性が大きく、白度も高いです。水産練製品、糖化用、化工でん粉(養鰻飼料・料理増粘剤用等)に使用されます。また近年、家庭では片栗粉の名称で調理によく使われます。
でん粉原料用の馬鈴薯の生産は、日本では北海道に限定されます。
(5) 甘藷でん粉
粘度や糊の性状において、馬鈴薯でん粉と穀類でん粉の間の性質を示します。液化酵素により極めて溶け易い特徴があるため、大部分が糖化用に使用されますが、独特の食感から春雨、葛切りなどの原料にもなります。
国内産の甘藷でん粉としては、鹿児島県産が広く知られています。
(6) タピオカ
キャッサバの根から得られるでん粉で、粘着性、接着性に優れており、化工でん粉(デキストリン・接着剤用等)に使用されます。主にタイから輸入されます。
(7) サゴでん粉
サゴヤシの樹幹から得られるでん粉で、糊化温度や粘性は、馬鈴薯でん粉に似ており、化工でん粉(可溶性でん粉・麺打ち粉用等)に使用されます。主にマレーシアから輸入されます。
((財)消費科学センター「消費の道しるべ」(平成24年10月号)に掲載)
(参考)
消費者コーナー(でん粉)
でん粉のレシピ
砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196