【巻頭言】 消費者と行政との架け橋として
最終更新日:2012年5月31日
独立行政法人 農畜産業振興機構 理事長 佐藤 純二
昨年10月に、民間から公募で選ばれ、独立行政法人農畜産業振興機構(alic)の理事長に就任しました佐藤純二です。
この間、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」が今年1月に閣議決定され、私どもの組織・業務に関わる新たな枠組みが示されたところです。私は、この新たな枠組みに的確に対応しながら、これまでの民間での経験をも活かし、これまで以上に業務の効率化と情報公開の徹底による透明性の確保に努めて参ります。これまで蓄積してきた業務経験と国内外の人的ネットワークを最大限に駆使し、機構の使命の実現に向け役職員一同全力で取り組んで参ります。
農畜産物は気象条件により需給や価格が変動し、経営への影響が避けられません。さらに、海外と比べ生産コストや価格水準に大きな開きがあり、生産者等の自助努力のみでこれを解消するのは困難といわざるを得ません。このため、機構では、我が国の農業産出額の約6割を占める畜産、野菜、砂糖・でん粉の安定供給のために、需給・価格安定対策を行うとともに、生産者に対する直接支払等の業務などを行うほか、これらに関する情報収集・提供などを実施しています。
このうち、畜産に関しては、主に肉用牛農家、養豚農家および酪農家を対象とした経営安定対策事業を実施しており、また、WTO国際協定に基づき、国家貿易機関としてバターなどの指定乳製品を輸入し、国内に流通させることにより、国民の消費生活の安定を図っています。特に昨年来、皆様ご承知のとおり、バターの国内需給のひっ迫基調に対処するため、緊急輸入を行ってきたところであり、さらに本年度の輸入分を、初めて昨年度中に前倒しで入札実施いたしました。
野菜は、気象条件により作柄が変動しやすく保存性も乏しいため、大幅な価格変動が生じることがあり、皆様の消費生活への影響も大きいことから、産地による計画生産出荷と併せて、経営と需給・価格の安定対策を実施しています。さらに、近年、外食、中(なか)食が増えていることを背景に増加基調にある加工向け野菜需要に、国内産地がきめ細かく対応することで安定的な国内供給体制が確立できるように、産地と実需者とのマッチングに向けた交流会の開催にも力を入れております。昨年度の東京、大阪に続き、次回は仙台で開催すべく準備をしております。
南の鹿児島、沖縄、そして北の北海道の農業生産、地域経済にとって、砂糖、でん粉とその原料作物の生産は不可欠とも言える重要性を持っています。ザワワザワワと風に歌うサトウキビ畑がどこまでも続く離島の島々を、砂糖の価格調整制度が支えていることを、これからも皆様とともに共有していけるよう、努力を続けて参りたいと思います。
また、でん粉原料用のいもについては、その品質向上、用途の拡大が、経営安定支援制度の持続的な運営のためにも欠かせません。このため、去る1月に鹿児島県下で、その推進のための意見交換会を開催しましたところ、でん粉加工事業者、でん粉製造事業者、生産者等多くの方にお集まり頂き、これも初めての試みでございますが機運醸成に貢献できたのではと考えております。
さらに、東日本大震災の被害からの復興・復旧に向け国を挙げての取組みがなされる中、機構でも、原発事故に起因する肉牛・牛肉価格の低落に対する緊急対策等を通じて、関係者の皆様の支援に取り組んでおります。
今後とも、このような形で、制度の趣旨により即した業務運営に向けて、努力を積み重ねて参ります。また、私どもは、国と現場、あるいは行政と消費者との間の架け橋の役割を担う立場として、これまで以上に分かりやすい言葉で業務の状況を皆様にご説明し、ご理解、ご批判を頂く機会を設けながら、より質の高いかつ効率的なサービスの提供につながるよう努力して参ります。皆様方のご理解とご協力を切にお願い申し上げる次第です。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196