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【コラム】アルゼンチンの牛肉消費事情

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最終更新日:2013年9月4日

 アルゼンチンは日本の反対側、南米大陸に位置し、国土面積は日本の7.5倍と広大な国土を保有しています。また、人口4,076万人(2011年、世界銀行データ)のうち、欧州系(スペイン、イタリア系)が 97 %を占める移民国家でもあります。
 アルゼンチンといえばサッカーやタンゴ、イグアスの滝が有名ですが、アルゼンチンを語る上で絶対に外せないものが牛肉です。
 アルゼンチンで飼養される肉牛はアンガス種やヘレフォード種です。ラプラタ川流域に広がる広大な湿潤パンパ地域で放牧され、大地の草を食べて育った肉牛は、穀物肥育牛とはまた違う肉のおいしさがあります。

年間牛肉消費量は日本の10倍

首都ブエノスアイレスの食肉小売店での販売は塊が基本
首都ブエノスアイレスの食肉小売店での販売は塊が基本
 アルゼンチンの1人1年当たりの食肉の消費量は約110kg でその内訳は、牛肉が60kg 、鶏肉が40kg豚肉が10kgとなっています。特に牛肉の消費量が多いことが目を引きます。(日本は1人1年当たり約29kg。牛肉が6kg豚肉が12kg、鶏肉が11kg 。)
 1人1年当たりの牛肉消費量は2009年まで世界第1位でしたが、2010年にはその座を隣国のウルグアイに明け渡しました。牛肉消費量が減少した理由としては、2008から09年の干ばつの影響を受け、放牧地の減少や繁殖めす牛の淘汰が進んだことにより、国内の牛の飼養頭数が減少し、牛肉価格が高騰したことが挙げられます。
 1kg 当たりの食肉価格(5月時点:ブエノスアイレス市内のスーパーマーケット)は、牛ヒレ肉が約75ペソ(1275円:1アルゼンチンペソ=17円)、牛サーロインが約70ぺソ(1190円)、鶏むね肉が約32ペソ(544円)、鶏もも肉が約25ペソ(425円)、豚ヒレ肉が約65ペソ(1105円)、豚肩肉が約40ペソ(680円)となっています。

シンプルかつ豪快な牛肉の調理方法

 牛肉の食べ方は、アサードと呼ばれるアルゼンチン風炭火焼や、ステーキが人気です。アサードとは、パリージャと呼ばれる金網の上で肉を炭火で焼いた、いわばバーベキューのような料理です。また、アサードの中でも特に内臓肉を主体とした盛り合わせをパリジャーダといい、色々な種類の肉を手軽に楽しむこともできます。肉の味付けは、塩とコショウのみで、素材のうまさを堪能できます。
 一般的な家庭での牛肉料理は、日常ではステーキ、週末やハレの日にはアサードが多く食べられており、自宅の庭にアサード用のパリージャを設置している家も多く見られます。休日は朝から炭をおこし、アサードの準備をするのは、男性の役割とされています。人気の部位は、ヒレ、サーロイン、ランプなどで、アサードやステーキ以外では、カツレツやシチューなどもよく食べられています。
にく

近年の牛肉消費

パリージャ(金網)で調理中のアサード(アルゼンチン風炭火焼)
パリージャ(金網)で調理中のアサード(アルゼンチン風炭火焼)
 アルゼンチンの牛肉の消費動向は、地域と世代によっても異なり、首都ブエノスアイレスなどの都市部では、地方と比較して牛肉の消費量が少ない傾向が見られます。都市部の人口構成は20代後半から40代の年齢層が多く、他の年齢層よりも食に対する探求心が強いことから、なじみの無い食材や新しい食べ物を積極的に取り入れようとする傾向があるためです。
 一方、地方では牛肉の消費量は多く、1週間で1人当たり2kg を消費するのも普通です。また、高齢者の牛肉消費量も高くなっています。これは、都市部と比較して地方の牛肉価格が6割程度であり、牛肉を購入しやすい環境にあるためです。また、都市部では、昼食をサラダなどで済ませる人が多いですが、地方では昼食をしっかりと食べる人が多いのも、地方の牛肉消費量が多い理由の一つです。
 最近では、価格や健康志向を反映して、牛肉から鶏肉へと消費が一部移りつつありますが、世界的にはアルゼンチンの1人当たりの年間牛肉消費量は依然として多く、国民嗜好からしても「肉ならば牛肉が食べたい」という意識が強いです。日本人が毎日米を食べても飽きないように、アルゼンチンの人々は毎日牛肉を食べても飽きない。これが、「アルゼンチンの主食は牛肉」と言われる所以です。
レストランのアサードの調理風景。串に刺した半身肉を炭火の周りに並べて焼くこともある。
レストランのアサードの調理風景。串に刺した半身肉を炭火の周りに並べて焼くこともある。

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