【コラム】インドネシアの牛肉消費事情
最終更新日:2014年1月8日
インドネシアは、日本から南に6000kmの赤道付近に位置し、国土面積は日本の約5倍、人口は約2倍の約2億3800万人(2010年、インドネシア中央統計庁)と、いずれも東南アジア最大を誇ります。また、人口の大多数はマレー系住民ですが、多民族国家であるため、民族や言語、宗教は多様性に満ちています。特に国民の約9割がイスラム教徒であり、世界最大のイスラム人口を抱える国と言われています。
イスラム教では、宗教上、食に関して禁じられていることがあります。なかでも豚肉が禁じられていることは有名です。豚肉はもちろんのこと、豚から作られた調味料や加工品も同様です。このため、イスラム教徒が多いインドネシアでは、食肉消費のほとんどが鶏肉と牛肉によるものです。
イスラム教徒にとって重要なハラル
インドネシアのハラルマーク
インドネシアのスーパーの食品売場に足を運ぶと、ハラル(イスラム教で「許された」の意)マークを目にすることがあります。食肉についてみると豚以外の牛、 鶏などであっても、イスラム教の作法に従ってと畜されなければ、口にすることはできません。イスラム教の戒律に違反していないと認定され、食べてよいとされる食品には、ハラルマークが付いています。
インドネシアのハラルマークは、2009年ごろから飲食店などでも使われるようになり、国内の認知度が高まっています。また、最近ではマークとともに、食の安全性や健康志向をうたう商品も販売されており、非イスラム教徒の間でも注目されています。
今後の伸びが見込まれる食肉消費
様々な牛肉の加工品を取り扱うスーパーの売り場
インドネシアの1人1年当たり食肉消費量は、 11 .6 kg( 2 0 0 9 年、 FAOSTAT)と、日本の4割程度です。なお、消費は、首都ジャカルタなど一部の地域に集中しており、食肉の消費構成も民族、宗教によって異なることから、地域差は大きいとされています。
また、牛肉は大豆を原料とするタフ(豆腐)などとともに、良質なタンパク源として注目されており、近年では、観光客、外国人居住者などの需要増加や国民の平均所得の向上などによって、著しく消費が伸びています。
多様なインドネシアの牛肉料理
インドネシア料理は、数多くの香辛料やハーブが使われ、独特の味付けがなされます。多種多様な民族が混在するインドネシアでは、料理も地域によって色々なアレンジが加えられ、実に様々です。牛肉を使った料理としては、肉団子のバッソや、牛肉をココナッツミルクと香辛料で長時間煮込んだルンダンが定番です。このほかの料理も、牛肉の色々な部位が使われ、焼いたり、炒めたり、煮たり、揚げたりと、バリエーション豊かです。
現在、インドネシア政府は、牛肉自給率向上のため、国内の牛肉生産振興に力を入れています。2億3800万人の人口を抱える巨大市場で、この先も牛肉の消費量は伸びるとみられ、国内の需要を満たせるかどうか注目されます。
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