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【レポート】メキシコの豚肉産業の現状と課題

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最終更新日:2017年1月4日

輸入割合

 メキシコ産豚肉は、1980年代前半の日本への輸出開始以来、日本・メキシコ経済連携協定(EPA)の発効などにより、順調に日本市場での存在感を強めてきました。2015年の日本の国別豚肉輸入量を見ると、メキシコは、アメリカ、カナダ、デンマークに次ぎ、スペインと同程度の輸入先国となっています(図1)。そこで今回は、メキシコの豚肉産業について紹介します。
 

豚肉の生産量は増加傾向で推移

生産量

子豚

  メキシコの豚飼養頭数は、豚流行性下痢(PED)の影響を受けた2015年を除き、近年、増加傾向で推移しており、2016年は992万頭と過去最高となる見込みです。一方、直近のデータである2007年の養豚農家戸数は76万戸で、前回調査時(1991年、137万戸)から著しく減少しています。この結果、1戸当たりの飼養頭数は大幅に増加していますが、これは、小規模農家の廃業や大規模農家の規模拡大、企業養豚による垂直統合が進展したことによるものです。特に、企業養豚が多いソノラ州で規模拡大が著しく進みました。
 豚肉の生産量は、近年の飼養頭数の増加などにより増加傾向で推移しており、2015年は前年比2・4%増の132万tと過去最高を記録しました。州別に見ると、ハリスコ州が26万t、ソノラ州が23万tと2大生産地となっており、これらを含めた上位5州で全体の約7割を生産しています(図2)。
 

日本が最大のマーケット

推移

 メキシコの豚肉消費量は、近年大きく伸びており、国内生産だけでは賄いきれず、多くの豚肉を米国などから輸入しています。消費は、ももやうで、内臓、骨など安価な部位が中心となっています。
 一方、豚肉の輸出量は、増加傾向で推移しており、2015年には10万tと過去最高を記録しました。このうち、日本向けが8割を占め、米国、韓国が続きます(図3)。輸出に向けられる主な部位は、ヒレやロース、肩ロース、バラなどです。
 このように、国内外で需要部位が異なっており、高単価の部位が輸出に向けられることから、メキシコは海外市場に活路を見い出しています。特に、国内の大消費地まで距離があるソノラ州でこの傾向が強く、対日輸出の6割以上がソノラ州産とみられています。
 輸出市場では、同国の強みである人件費の安さや手先の器用さを生かした人海戦術により、串刺しや糸巻きなどの一次加工までを行うことで、他国産との差別化を図り、競争力を高めています。このため、日本では、外食産業で利用されることが多くなっています。
 

今後の見通し

加工

 メキシコでは、メキシコ農牧農村開発漁業食糧省により認証を受けた施設(TIF認証施設)しか食肉を輸出することができません。TIF認証施設には、高い衛生管理基準が設けられており、2014年に同認証施設でと畜された豚の割合は、6割を占めました。しかし、最大の豚肉生産州のハリスコ州では、同認証施設でのと畜率が低い水準にあることなどから、メキシコ産豚肉のプロモーション活動を行っているメキシカンポーク輸出業者協会(MPEA)は、今後の輸出拡大には、同認証施設の更なる増加が必要との認識を示しています。
 2015年12月に日本向けに輸出される豚の家畜衛生条件が改正され、メキシコ全土からの輸出が可能となりました。MPEAの会員である主な豚肉輸出業者は今後もさらなる増産の意向を示しており、当面は、これまでと同様の州からの輸出が中心となるものの、今後の豚肉輸出量は増加するとみられています。
 
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