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【レポート】オーストラリアの砂糖産業の動向 〜拡大する砂糖生産〜

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最終更新日:2017年3月1日

 オーストラリアの砂糖生産量は、世界全体の3%に過ぎませんが、その8割が輸出に向けられていることもあって、オーストラリアは、ブラジル、タイに次ぐ砂糖輸出国です。また、経済成長や人口増加の著しいアジア諸国に近いという地理的条件や、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の進展を生かし、砂糖輸出国としての存在感を高めています。
 オーストラリアは、日本にとっても、タイと並ぶ砂糖の主要輸入先国です。2015年1月の日豪EPA発効後に、日本の砂糖輸入量に占めるオーストラリア産の割合は増加しています(図1)。
 そこで今回はオーストラリアの砂糖産業の動向について、昨年8月に実施した現地調査などを基に、紹介します。
推移

大規模に営まれる サトウキビ生産

 砂糖の原料はサトウキビやてん菜ですが、オーストラリアは、サトウキビから砂糖を生産しています。サトウキビは、クイーンズランド州北部からニューサウスウェールズ州北部にかけて広がる亜熱帯気候の東海岸で生産されています( 図2)。その95%がクイーンズランド州で生産されるため、同州の動向がオーストラリア全体のサトウキビ生産を左右します。
 2016/17年度(2016年7月〜2017年6月/オーストラリアでの砂糖年度区分)は、39万haの面積で、3550万tのサトウキビが生産されると見込まれています。これは、日本のサトウキビと比べて収穫面積で17倍、生産量で28倍に相当します。一方、サトウキビの生産者戸数は約4500戸と日本の約5分の1です。1戸当たりの平均収穫面積は85ha。これは東京ドーム18個分です。日本における1戸当たりの平均収穫面積が1haですから、オーストラリアでのサトウキビ経営は皆さんの想像を超える大規模な経営です。
地域

増加する砂糖生産と輸出

 近年、オーストラリアの砂糖生産量は、2010/11年度の361万tを底に増加しており、2014/15年度は500万t程度となっています。これに伴い、砂糖輸出量も、2012/13年度以降毎年増加しています(図3)。国別に見ると、韓国が最大の輸出先国で全体の3分の1以上を占め、次いで、インドネシア、日本、中国、マレーシアと続きます。
 このような輸出量の増加には、特にアジア・太平洋市場を重視したFTA・EPAの進展が背景にあると考えられます。輸出量第1位の韓国とは、2014年12月に韓豪FTAが発効しており、2016年には、韓国は砂糖の9割以上をオーストラリアから輸入するようになりました。
国別輸出量

砂糖の安定生産と環境保護の両立

 最大の産地であるクイーンズランド州では、砂糖の安定生産とともに、世界遺産グレートバリアリーフの保護のため、コンピューターシステムなどを活用し、化学肥料や農薬の使用量を低減して環境への負荷を抑えた、持続可能なサトウキビ生産を行う生産者を認定する取り組み(SmartCane BMP)が行われています。このような取り組みが、国際砂糖市場でのオーストラリア産砂糖の重要性を高め、顧客のニーズに応えることとなると期待されており、アジアを中心にさらなる輸出拡大を目指すオーストラリアの砂糖産業の今後の動向が注目されます。
認定生産者
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