【業務関連情報】でん粉の様々な用途
最終更新日:2021年1月6日
はじめに
みなさんはでん粉と聞いて何をイメージしますか。料理で使う片栗粉を思い浮かべる方や、ジャガイモがヨウ素液で紫色に反応する実験を思い出す方もいらっしゃるのでは?しかし身の回りでどれだけ使われているかについては、あまりご存じない方も多いかも知れません。今回は、そんなでん粉について、種類と幅広い用途についてご紹介します
でん粉の種類と主な用途
でん粉はその原料によって多くの種類があります。代表的なものは以下のとおりです。
(1) コーンスターチ
その名の通り、とうもろこしが原料です。わが国の場合、輸入とうもろこしを原料に、国内でコーンスターチを製造することがほとんどであり、日本国内のでん粉供給量の約9割を占めています。粒が小さく粘度が低い特徴があり、甘味料の原料、製紙・段ボールやビールなどに使われています。
(2) ばれいしょでん粉
ばれいしょ(ジャガイモ)が原料です。国内におけるばれいしょでん粉は北海道のみで生産されています。糊化(こか)温度が低く、保水性が高いという特徴から、片栗粉や水産練製品などに使われています。
(3) かんしょでん粉
鹿児島県や宮崎県で栽培されているかんしょ(サツマイモ)が原料です。かんしょでん粉工場は国内では鹿児島県にのみ立地しています。大部分が甘味料の原料として使われています。
(4) タピオカでん粉
キャッサバ(マニオカ)が原料です。近年、タピオカ入りドリンクのブームでよく耳にするようになりましたが、それ以前から粉末状のタピオカでん粉が輸入されており、その大部分がタイ産です。主に甘味料や化工でん粉の原料に利用されます。
(5) サゴでん粉
サゴ椰子(やし)が原料です。マレーシアやインドネシアなどから輸入されています。主に化工でん粉の原料に利用されます。
様々な用途
でん粉は次のとおり加工又は直接利用され、様々な用途に使用されています。
【1】加工して利用
(1) 糖化製品
清涼飲料や冷菓などの原材料として異性化糖(「果糖ぶどう糖液糖」という表示をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。)や、発泡酒に使われる水あめ、医薬(輸液糖)などに使われるぶどう糖がこれに当たります。わが国のでん粉需要量の約7割を占め、その大半がコーンスターチを原料としています。
(2) 化工でん粉
天然のでん粉を酸や熱、化学薬品などで処理することで、でん粉本来の特性を改良したり(接着力の強化、粘度の調整など)、新しい性質を加えたり(冷水による可溶性など)したものがこれに当たります。食品用は冷凍食品、麺類、インスタント食品などで、工業用は製紙、繊維、接着剤などで使用されています。
【2】直接利用
でん粉を熱湯に溶かすことで出来る粘性の液体は、パルプの繊維同士を接着することで紙の強度を上げるため、製紙業でよく使われています。また、段ボールは波型のシートを2枚のシートで挟む構造となっていますが、この各シート間の接着にもでん粉が使われています。他にも薬を飲む際のオブラートや、錠剤の添加剤、食品の原材料にも使われます。
国内でん粉生産の支援
国内のでん粉原料用作物は、ばれいしょとかんしょです。ばれいしょは、北海道農業における主要な輪作作物です。かんしょは、作付けに不向きな作物の多いシラス(火山灰)土壌で、かつ台風の常襲地帯である南九州(鹿児島県、宮崎県)において、他に代えることのできない作物です。どちらもでん粉の原料用として約4割が仕向けられており、それぞれの地域を支える基幹作物で、でん粉製造事業者とともに地域農業・地域経済に重要な役割を果たしています。一方、国内産いもでん粉と、輸入とうもろこしを原料として製造されたコーンスターチや輸入でん粉との間には、生産条件等の格差による大幅な内外価格差が存在します。
そのため当機構では、でん粉の価格調整制度の仕組みで、価格の安いコーンスターチ用輸入とうもろこしなどから調整金を徴収し、これを財源として国内のでん粉原料用いも生産者とでん粉製造事業者に支援を行っています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196