【まめ知識】エコフィード 〜おいしい資源の循環〜
最終更新日:2024年4月5日
1 牛・豚・鶏たちは何を食べている?〜飼料価格高騰の実態〜
最近、さまざまな食品の価格の値上がりを実感している方も多いかと思いますが、実は、家畜たちが食べる飼料でも同じことが起こっています。
家畜が食べる飼料は、牧草など繊維質の多い「粗飼料」や、穀物・かす類などの栄養価の高い「濃厚飼料」を原料に、畜種や経営形態に応じてバランスよく組み合わせて給与されています。そのうち、濃厚飼料は、国産の割合が13%程度と低く、長らく輸入に頼ってきました。その輸入飼料の価格が、ロシアによるウクライナ侵攻や為替変動などの影響により高騰していることから、畜産経営において飼料費がかさんでいます。
この状況を受け、わが国では過度に輸入飼料に依存した状況から脱却すべく、国産飼料の確保に向けさまざまな取り組みが進められているところです。今回は、その一つの選択肢である「エコフィード」をご紹介します。
2 エコフィードとは
エコフィード(ecofeed)とは、“環境にやさしい”(ecological)や“節約する”(economical)などを意味する“エコ”(eco)と“飼料”を意味する“フィード”(feed)を組み合わせた造語で、食品製造副産物(しょうゆかすや焼酎かすなど、食品の製造過程で得られる副産物)や売れ残った食品(パンやお弁当など)、調理残さ(調理の際に発生する野菜のカットくずや非可食部など)、農場残さ(規格外農産物など)を利用して製造された家畜用飼料を指します。
形態としては、(1)原材料を脱水・乾燥して粉末状で提供する「ドライ」、(2)原材料を密封し、乳酸発酵により保存性を高めた「サイレージ」、(3)原材料と水を混合し、スープ状に加工する「リキッド」の三つに分類されます。
3 エコフィードの製造現場を見てみよう
写真は、神奈川県相模原市にある、株式会社日本フードエコロジーセンター(以下「J.FEC」という)のエコフィードの製造現場です(令和6年1月撮影)。
J.FECでは、リキッドタイプのエコフィードを製造しており、1日当たり49トンの処理能力を有しています。パン・ごはん・麺類など食品製造の過程で出た残さや、野菜の外葉、総菜の残りなど小売店舗で出た残さなど、受け入れている食品残さは多種多様です。
搬入された食品残さの種類や量は、すべてデータ管理しており、データを基に原料の配合バランスを整え、飼料成分を均一化しています。製造されたエコフィードは、県内外13の養豚農家の元へ運ばれています。サンプルは10日間保管され、品質を確認できるようになっています。
4 エコフィードの意義やメリット
わが国の飼料流通におけるエコフィードの製造には、大きく二つの意義があります。一つは、地域の未利用資源や食品残さなどを利用することによる飼料自給率の向上です。もう一つは、食品ロスが問題とされる中、食品リサイクルを促進し、限りある資源を循環させることで持続可能な循環型社会・農業の実現に寄与する点が挙げられます。また、飼料コストを削減できるというメリットもあり、飼料中の約2割をエコフィードに置き換えた場合、飼料費を約14%削減できると言われています。
なお、エコフィードには認証制度があり、認証ラベルが発行されています。お店などでこのマークや「エコフィード」という表示がないか探してみてください。お肉の味わいも良好とのことですので、ぜひ、エコフィードで育てられた畜産物をお手に取ってみてはいかがでしょうか。
(調査情報部)
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