【第一線から】 日本の砂糖を支える島 『川満さんのさとうきび栽培』
最終更新日:2012年5月31日
川満さんは、平成16年に甘しゃ糖製造工場を定年退職後、さとうきび専作農家となりました。平成18年には「上野地区さとうきび生産組合」の初代生産組合長となり、地域のリーダーとして活躍されています。
川満さんご夫妻
砂糖は何から出来るか知っていますか
そのさとうきびって何ですか
さとうきびは、イネ科の多年生植物で、成長すると3〜6メートルの高さになります。
さとうきびはどこで栽培されていますか
鎌(かま)でさとうきびの葉を切る
さとうきびは暖かい気候を好むため、日本では沖縄県や鹿児島県南西諸島の島々で栽培されています。この地域は日本でも有数の台風、干ばつ等の自然災害の常襲地帯です。
強風に倒されてもまた起き上がり、水不足であっても雨が降れば新しい葉を出す、自然災害に強いさとうきびは島では重要な基幹作物となっています。
どうしてさとうきびが島で重要な作物なのですか
斧(おの)でさとうきびの根を切る
さとうきびは、地域の甘しゃ糖製造工場で加工されるので、雇用など地域経済上も重要な役割を担っています。
さらに、多くの離島は広大な二百海里水域を形成しており、人々が暮らし、砂糖産業が成り立っているからこそ国土が守られているともいえます。
日本の砂糖はその島に支えられているのですね
さとうきびは島の宝
きびしい自然環境の中で、さとうきび栽培に取り組んでいる宮古島の川満長英さんのさとうきび栽培について紹介します。
4月 さとうきびの生育を良くするために、緑肥をは種します
ほ場一面に広がる緑肥(下大豆)
川満さんは、さとうきびを植え付ける前に地力の維持・増進のために緑肥として「下大豆(ゲダイズ)」をすき込んでいます。「下大豆」は沖縄の在来種で、栽培環境として適しており、ほ場一面に広がり、雑草の抑制や根が伸びることによって下層の土も改善され、赤土流失防止にも役立っています。
植え付け前に、元気な苗を作ります
2節苗
さとうきびは竹と同じように節があり、さとうきびはその節から芽が出ます。苗は二つの節がある2節苗(ニセツナエ)を植え付けます。
川満さんは、植え付け前に、苗を一昼夜、水に漬けます。水に漬けることで、発芽がよくなり、また、病害虫の被害が抑制されるそうです。
8月下旬から9月中旬 さあ植え付けです
小型トラクターで溝(みぞ)をつくります
植え付けは、まず、小型トラクターで苗を植え付ける溝(みぞ)をつくります。
歩いて苗を一つずつ置かれた2節苗
次に、歩いて苗を一つずつ置いていきながら、足で苗を踏み固めます。苗を重なるように置いてすきまなく植える方もいますが、川満さんは、こぶし一つ分、離して植えます。こうすることで、苗も節約できるそうです。
10月上旬から11月と12月に肥料を与えます
根本に土を盛られたさとうきび
川満さんは、植え付けして45日後の10月上旬から11月に肥料を与えます。除草は、耕耘機で軽く耕したり、人力で行ったりしています。12月下旬に2回目の肥料を与えます。
翌年4月には高く土を盛る培土をします。そうすることによってさとうきびが倒れることを防ぐ役割があります。また、緑肥で土作りをしているので、化学肥料の投入量は基準の約2分の1で済むそうです。
生育旺盛期には適期にかん水が必要です
スプリンクラーによるかん水
また、沖縄は台風常襲地域です。台風によって、さとうきびが倒れたり、葉が裂けたりする被害がありますが、それ以上に怖いのが塩害です。
台風の猛烈な風で海から潮を被ったさとうきびは、時には枯れてしまいますので、台風の後は散水によりさとうきびにかかった塩を落とすことも大切だそうです。
台風に負けるな、さとうきび
台風によってた倒れたさとうきび
また、沖縄は台風常襲地域です。台風によって、さとうきびが倒れたり、葉が裂けたりする被害がありますが、それ以上に怖いのが塩害です。
台風の猛烈な風で海から潮を被ったさとうきびは、時には枯れてしまいますので、台風の後は散水によりさとうきびにかかった塩を落とすことも大切だそうです。
そして、いよいよ島の宝の収穫です
夏の日差しを浴び、すくすくと育つさとうきび
川満さんは、大きいほ場は機械で収穫を行い、それ以外の小さなほ場は、鎌(かま)や斧(おの)で刈り取るそうです。
また、手作業の収穫は、糖分がない上の部分の葉(梢頭部・しょうとうぶ)を鎌で落とし、次に根を斧で切り倒します。3メートルくらいに成長したさとうきびを引っ張り出し、葉を落として束ねます。
収穫作業がさとうきび栽培の一番の重労働だと川満さんは言います。
最後に…
さとうきび栽培は、川満さんと奥さんが中心で行い、収穫時には息子さんやお孫さんが応援に来るそうです。
さとうきびは島の宝、さとうきびは宮古の宝ですね。
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