【alicセミナー】 食と農を基盤とした地域経済の活性化
最終更新日:2012年7月25日
講演する小泉武夫氏
6月11日に開催されたalicセミナーでは、日本経済新聞のコラム「食あれば楽あり」の著者で、発酵学・食文化論が専門の東京農業大学名誉教授 小泉武夫氏をお招きしてご講演頂きましたので、その概要をご紹介します。
今回、セミナー参加の皆様からは「日本の農業に希望が見えた」と、将来の日本農業へ期待する声が多く寄せられました。
食と農による地域活性
地域活性化のキーワードは六次産業化と付加価値です。大分大山町農協の組合員は自らをおおやまプロフェッショナル農業集団と称し、より高いレベルの農業に取り組んでいます。人口4300人の小さな町では、平均年収2000万円を超える農家も少なくありません。土作りに励み、麦生産の素地を活かして農家パンを焼いて、大分市のホテルに納入しています。また1365円で80種類の農家料理が楽しめる食堂を、大分県と福岡県に現在3店舗展開しています。観光バスが立ち寄ることもでき、早い・安い・うまいに加え、心が和むをテーマに売上を伸ばしています。売上げ金は地元金融機関を経由して地域に還元され、また地元商店街にも協力、食と農を原点として地域内の経済循環システムが働く、六次産業化の成功例です。
我が国の専業農家の平均年齢が67歳となり農業の高齢化が進みますが、農業やものづくりの面白さに興味を持ち、追求したいと思う若者も少なくありません。「日本一のイチゴジャムを作ろう!」などの彼らの心に響く言葉で農業の魅力をうまく発信すれば若者はやってくるでしょう。
発酵食品の紹介
会場では「シンデレラの雫」の試飲も行われた
塩麹ブームが到来するなど、発酵食品が脚光を浴びています。北海道庁農政部食品政策課とコラボした21世紀型一村一品運動「北うまっ!プロジェクト」では、かぼちゃを発酵させて液糖状にした「シンデレラの雫」を販売しました。ひとつ210円の道産かぼちゃに1000円以上の付加価値が付きました。また、高校生対抗の料理選手権では、宇都宮の女子高校生たちが余剰作物を利用したキャベツの古漬けを挽肉と混ぜて具にした餃子を発表し、それが今や地元のメニューになりました。
アイデアひとつで農業は面白くなります。農作物の安定した流通先を確保すること、また、ただ生産して出荷するだけでなく、プレミアをつけて販売することで農業を中心として地域が活性化されます。
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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