【alicセミナー】中国の野菜事情
最終更新日:2013年6月25日
平成25年2月8日に開催したalicセミナーでは、中国の野菜産地の動向をテーマに講演を行いました。
中国国内では野菜価格が上昇
野菜産業は生産や輸出の面で中国農業にとって重要であり、野菜の生産量は年々増えています。
長期的には、労働者賃金や生産資材価格、地代の上昇によって野菜の生産コストが上昇し、主要野菜の国内価格もまた、ほぼ右肩上がりで上昇します(図1)。
一人っ子政策による労働年齢人口の減少、他産業への流動などによる労働者供給力の減少、社会保険加入の厳格化・企業負担のアップ、国務院の就業促進規画(2011〜15年)による最低賃金の引き上げ政策などにより、労働者賃金は2004年から約2倍に上昇しています(露地はくさい栽培の全国平均賃金を比較)。
また、トウモロコシ価格の高騰により、トウモロコシ栽培の収益を基準とする地代も2009年から約3倍に上昇しています。
都市化の進展や健康志向の高まりから2009年まで野菜消費量も増加傾向にありましたが、近年は野菜価格高騰により消費は落ち着いています。
価格上昇に対する野菜生産・流通政策
野菜価格の高騰を受けて、中国政府は野菜の重点産地を選定し、供給安定を図っています。
また、高速道路の通行料免除、コールドチェーンの整備、卸売市場など流通段階での付加価値税免除などの流通システム改革によるコスト軽減に取り組んでいます。
中国野菜の対日輸出状況
中国にあるたまねぎ加工工場。皮をむき、上部と下部をくりぬいている。
中国から日本への野菜輸出は生鮮・冷凍とも近年は増加傾向にあります。また、生鮮・冷凍野菜の中国における対日輸出割合は長年減少していましたが、ここ3年は徐々に増加しています。
日本への輸出主要品目は生鮮野菜ではにんじんとたまねぎです。しかし、2012年は寒波により日本での生育が悪かったため、ブロッコリーやかぼちゃ等の輸出が急増するなど、輸出数量は日本における作柄に影響を受けて変動します。
今後の動向
賃金や生産資材価格など生産コストの上昇は今後も継続すると見込まれます。また、輸出価格の上昇を吸収してきた円高も修正される方向にあります。中国の野菜輸出産業の国際競争力低下が予想されるため、野菜輸出価格の上昇に中国政府がどのように対応していくのかが注目されます。
中国でのたまねぎ収穫風景。写真奥の赤い袋は、収穫したたまねぎをネットに詰めたもの。
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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