【alicセミナー】ブラジルの砂糖及びエタノール産業を巡る状況
最終更新日:2013年6月28日
ブラジルのさとうきび畑
昨年12月5日に、ブラジルの砂糖およびエタノール産業の見通しについてalicセミナーを開催しました。6年ぶりに砂糖生産量が減少したブラジルでは、約7割の工場が砂糖とエタノールの両方を生産しているため、砂糖需給とエタノール需給の動向は密接に関係しています。
さとうきびの単収低下により減産
ブラジルは、世界の砂糖生産量の23%、輸出量の45%を占めており、世界の砂糖需給へ大きな影響力を持っています。2011/12年度はさとうきびの単収が低下したため、生産量は5億6099万トン(前年度比10・2%減)に減少、それに伴い砂糖生産量は3596万トン(前年度比5・5%減)、エタノール生産量は2270万キロリットル(前年度比17・8%減)になりました。
降雨不足や霜害などの天候不順や、リーマンショックによる資金不足でさとうきびの更新や新規開拓が停滞したことが単収低下の主な要因です。また、収穫機械の操作が不慣れだったため、生育に影響が出ました。最近では、更新や機械収穫への対応が進んでいるため、今後2〜3年以内に単収は平年並みまで回復する見込みです。
砂糖・エタノール産業の今後の成長見通しは不透明です。また、さとうきびの生産コストも地代、肥料代などの上昇で増加傾向にあり、今後もインフレと連動して上昇する見込みです。
ブラジルではガソリンに18〜 25%のエタノール混合を義務付けており、エタノールの混合ガソリンまたはエタノールのいずれでも燃料として使用できるフレックス車が普及しています。2011年以降エタノール価格が上昇している一方で、ガソリンはインフレ対策として政府管理により価格が抑えられているため、消費者がガソリンを選択する傾向にあります。長期的なエタノール政策の不在で、砂糖・エタノール産業への投資意欲が減退しています。
砂糖の生産・輸出をエタノール確保のために制限することはないでしょう。しかし、業界への不安が長引けば、さとうきび生産への響が出る恐れがあります。
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