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【第一線から】話題のトマトケチャップとトマト生産を支える人づくり〜岐阜県郡上市のトマト産地を訪ねて〜

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最終更新日:2013年6月28日

◆岐阜のトマトを活かして

岐阜県
 東海道線岐阜駅から電車を乗り継いで2時間弱。岐阜県郡上市は、郡上八幡城の城下町として長良川の支流である吉田川に沿って栄え、今もなお、古い街並みが残る情緒ある町です。
 郡上市内の海抜300メートルから1000メートルの高地では、ハウス栽培による夏秋トマトの生産が盛んに行われています。
 これらの岐阜県産のトマトを使い、トマトケチャップを作る会社が郡上市にあります。
トマト2枚
 農家の奥さんたちが集まって設立された竃セ宝レディースは、規格外品のトマトを有効活用したトマトケチャップの生産を始め、現在、県内を中心に年間12万本を出荷しています。
 手作りと無添加にこだわったトマトケチャップは、たまねぎや香辛料などを使ったトマトソースに近い濃厚なものです。甘めの味付けなので、オムライスのソースやピザソース等料理のトッピングとして使うのがお勧めです。
 グルメ番組で「日本一のトマトケチャップ」と紹介され、おしゃれなびん詰めパッケージは、料理をされる方へのプレゼントにもなりそうです。
 代表取締役の鷲見美代子さんは、社長に就任して2年目。トマトの出来によっては、原料確保に苦労することもあるといいます。
 今後は、料理や贈り物等幅広く使っていただけるように、ミニサイズの商品を開発するなど一層の工夫を重ねたいと語っていました。

◆厳しい環境の中、規模拡大をしながらのトマト作り

山あいに建つ和田さんのハウス
山あいに建つ和田さんのハウス
 トマトケチャップの原材料の一部にも使われる郡上市のトマトは、街の中心から車で20分、山あいのハウスで作られています。
 今回は、トマトと畜産の複合経営を行いながら、郡上市のトマト産地づくりと新規就農者の受入れを積極的に行っている、JAめぐみのトマト生産部会の部会長の和田敏彦さんを訪れました。
 和田さんの経営するやがた農園では、トマトをメインとした野菜の生産を和田さんと奥さんが行っています。また、先代が行っていた経営を引き継ぎ、飛騨牛の繁殖を中心とした畜産を弟さんが、さらに最近規模を拡大している野菜苗の生産を息子さんが行っています。和田さんが就農してから 33 年、水田だった場所にハウスを建て、徐々にトマトの栽培面積を増やし、 40 棟(生産量42トン/年)までになりました。

◆トマト農家になりたい人、受け入れます

JAめぐみのトマト生産部会 部会長 和田敏彦さん
JAめぐみのトマト生産部会 部会長 和田敏彦さん
 和田さんが規模を拡大する一方、地域の高齢化に伴いトマト生産農家でも、空きハウスが目立つようになりました。
 トマト産地として郡上市のトマトブランドを維持していくためには、生産農家の若返りが必要です。
 和田さんはこの空きハウスに着目し、自ら使用するだけでなく、新規就農希望者の研修用として貸し出しできないかと関係者に交渉したのです。
 「就農希望者が大きな投資をすることなく、志があればできる体制を作らなければ新規就農は難しい。農業を土地を持った農家だけのものにしてはならない。」との思いのもと、これまで研修生を2名受け入れ、独立するまでの2年間、栽培指導を行いました。
 JAめぐみのトマト生産部会では、この2名を含め、毎年コンスタントに新規就農者を受け入れています。
行政や農協の支援だけでなく、和田さんのように近くの農家が温かく見守ることにより、新規就農者も安心してトマト生産に取り組めることになります。
 ただし、設備や栽培技術だけではなく、地域に受け入れてもらうことも大切。これは本人次第。少しの気遣いだけで、地元の人に早く溶け込めるようです。
 「トマト栽培は女性ひとりでもできる。今後も農業大学校の卒業生等、就農の可能性のある人材を積極的に探していく。」と和田さんは意欲を語ります。
トマト収穫

◆トマトを消費者まで安定的に届けるために

 天候に左右される野菜生産は、豊作等によって市場価格が著しく低落し、赤字となる場合があります。
 当機構では、生産者、都道府県及び国が積み立てた資金を財源に、野菜価格の低落が生産者の経営に及ぼす影響を緩和し、消費者への野菜の安定的な供給を図るための「指定野菜価格安定対策事業」を実施しています。和田さんが夏秋トマトを栽培している郡上市もこの事業の対象地域となっています。
指定野菜

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