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【第一線から】にんにくで町を活性化青森県田子町

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最終更新日:2013年7月22日

「にんにくの町」田子町

 にんにくは、パスタや肉料理、炒めものの香りづけにかかせない野菜です。
 この独特の香りの正体は アリシンという硫黄化合物の一種で、にんにくを刻むなどした際に酵素と反応して発生します。硫黄化合物には強い抗菌作用や抗酸化力があり、風邪の予防に効果があるともいわれています。
 また、アリシンはビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、ビタミンB1 を効率よく吸収されるようにすることから、にんにくには疲労回復効果があると言われています。  食の欧米化や健康志向の高まりから、にんにくは人気の高い食材です。
 スーパー等で手軽に手に入るにんにく。国内市場で流通している半分以上が中国産ですが、実は、国内産にんにくの約7割は青森県産です。
 中でも真っ白な粒とにんにく本来の香りを持つ青森県田子町産の「たっこにんにく」は、市場関係者から高く評価されています。
 しかし、田子町でにんにくの栽培が始まったのは、昭和 37 年と比較的新しい品目です。
 それまでの農家の収入は、稲作と出稼ぎによるものが中心で、火山灰土壌のやせた土地ではヒエ、麦、大豆が栽培され、自給自足の生活をしていました。
 このような環境を変えるべく、地域に現金収入をもたらす作物を模索していた田子町農協青年部の有志13名が福地ホワイト6片種(青森県福地村で栽培されていた寒地系品種で、我が国の代表的な純白種)の球種を約20a分購入し、新しい挑戦を始めたのがきっかけです。
 田子町農協青年部では、昭和41年に約13 kgを初出荷し、昭和 45 年3月に 67 名の農家でにんにく生産部会を設立しました。その後、優良系統の選抜を繰り返すとともに、「一人の生産では産地になれないがみんながまとまれば産地になれる」を合言葉に結束し、厳しい品質基準を作り上げました。このような努力が実を結び、昭和 50 年には、全国紙に品質・数量ともににんにく日本一と掲載されました。作れば売れるにんにくバブルが到来し、20 歳代で家を建てる若者も多かったとのことです。昭和59 年には、約 1,000戸ある農家のうち722戸がにんにく生産部会の会員になるなど、まさににんにくの町へと変貌を遂げました。
田子町にんにく

輸入にんにくへの対抗とブランド化

 昭和53〜54年にかけての米国産にんにくの輸入攻勢を乗り切り、昭和50年代後 半に3億円だった販売額は、平成3年に8億円を突破し、田子町のにんにく生産農家 は安定した経営基盤を築いたと思われました。
 しかし、平成5年に中国産にんにくの輸入攻勢が始まり、安価な中国産にんにくの普及により国産にんにくの価格が大暴落した影響等から、にんにく生産部会の会員は約200戸に落ち込み、栽培面積も約100ha から一時は70 ha 程度に減少しました。   一方、田子町のにんにくは国産にんにくの価格が低下するなかでも、高値で取引されていたことから、市場にまがい物が出回るようになり、「たっこにんにく」ブランドの徹底管理の必要性が出てきました。
 このため、加工流通業者、生産農家等をメンバーに「たっこにんにくをもりあげる会」が発足。
 平成18 年に地域団体商標「たっこにんにく」を旧JA田子町が取得し、ブランド管理の土台が整いました。
 その後、中国産野菜の安全に対する不信や中国におけるにんにくの不作による価格高騰を受けて、国産にんにく価格も回復し、平成23年には、にんにく生産部会の会員数は約300戸、栽培面積は約150ha に増加しています
にんにく

「たっこ王子」が大活躍

イメージキャラクター「たっこ王子」
イメージキャラクター「たっこ王子」
 田子町経済課では、「たっこにんにく」の生産、 販売の拡大を目的に、平成23年4月にたっこにんにく振興室を立ち上げました。 振興室の職員は、「たっこにんにく」の知名度を高めるために、イメージキャラクターの「たっこ王子」の着ぐるみを着て、テレビ等に出演しアピールしています。また、関係機関と連携し、病虫害に強い独自のウイルスフリーの品種を育成することにより、優良種球を生産者へ安く提供できつつあります。
たっこにんにく振興室のみなさん

にんにくによる国際交流

 にんにくの町として一躍有名となった田子町は、昭和60年代から「にんにくシンポジウム」や「にんにくとべこまつり」を開催するなど、地域の特産をアピールする取り組みを始めました。
 また、にんにくの生産、加工、集積の町として有名な米国のギルロイ市と昭和63年に姉妹都市となり、それぞれが開催しているガーリックフェスティバル互いのガーリッククイーンを派遣したり、田子町の中高生をギルロイ市へ短期留学させ、ギルロイ市より国際交流推進員を招き子供たちの英語教育を行うなど、町を元気にする交流を実施しています。
 現在は、ギルロイ市との国際交流以外に、イタリアのモンテチェリや韓国の瑞山(ソサン)市といったにんにくの産地とも新たに交流を始めています。
 このような国際交流や田子町のにんにく産業の振興を目的として、平成5年に田子町、JA、商工会議所 の第三セクターとして(財)田子町にんにく国際交流協会が設立され、ガーリックセンターを拠点として活動を始めました。
 ガーリックセンターでは、にんにくの粉末を練りこんだ麺を使った「特製にんじゃあ麺」等をレストランで提供するとともに、にんにくの加工品を売店で販売しています。  また、にんにくを使ったレシピの開発等、情報発信にも取り組んでいます。
たっこまち

特定野菜等供給産地育成価格差補給事業

 にんにく、ブロッコリー、かぼちゃ等35品目は、地域農業振興上の重要性等から、指定野菜(全国的に流通し、特に消費量が多く重要な野菜)に準ずる重要な野菜(特定野菜)として位置づけられています。
 (独)農畜産業振興機構では、このような野菜を生産する農家の経営安定により、国民への 安定供給を確保するため、天候等の影響により価格が著しく低落した場合に、その一部を助成する特定野菜等供給産地育成価格差補給事業を実施しています。
 田子町のにんにくについても、平成13年度に輸入物の増加により価格が急落した際、同事業が実施されました。
特定野菜等供給産地育成価格差補給事業

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