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【第一線から】地域の酪農家を支える酪農ヘルパー〜北海道・音更町ディリ―サービスを訪ねて〜

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最終更新日:2013年8月15日

はじめに

 農畜産機構では、畜産業および関連産業の発展や、国民の皆さまの消費生活の安定に寄与することを目的として、畜産物の生産や流通の合理化を図る事業に補助しています。
 さて、畜産のうち生乳を生産する酪農は、毎日の搾乳や飼料給与、飼料の生産、ふん尿の処理まで多くの業務を日々こなしていく必要があります。このような酪農経営を側面から支援する組織のひとつとして、酪農家の方が休日を確保する場合や突発事故が発生した場合等に、代わりに搾乳や飼養管理を行う酪農ヘルパーがあります。食料自給率の目標、農業の持続的発展に関する施策等を示す「食料・農業・農村基本計画」や酪農及び肉用牛生産等の今後の目指すべき方向性を示す「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」においても、支援組織を育成・確保するとともに、酪農ヘルパーを新規就農者への技術習得の場として活用することも期待されています。
酪農が盛んな北海道・音更町
酪農が盛んな北海道・音更町

音更町の酪農ヘルパー

 酪農ヘルパーは、酪農家が365日休むことなく行っている搾乳や飼料給与、牛舎掃除などの作業を代わって行う仕事で、全国にヘルパーを派遣する組織が所在しています。
 今回、酪農が特に盛んな北海道にある音更町ディリーサービスを訪ねました。
 北海道の東部・十勝平野のほぼ中央に位置する音更町ディリーサービスは、平成3年に設立されて以来、地域の酪農を支え続けています。
 酪農ヘルパーとして14名の方が所属し、うち8名は専任で従事しています。
 活動区域内のほとんどの酪農家が利用し、飼養する乳牛は7,600頭ほどになります。
搾乳機器やトラクターも操作する酪農ヘルパー
搾乳機器やトラクターも操作する酪農ヘルパー

現役の酪農ヘルパーに聞く

「酪農ヘルパーが必要」と語る酪農家の佐藤さん
 ここで働く酪農ヘルパーの皆さんにお話を伺いました。
 酪農ヘルパーになった理由を伺ったところ「実家が酪農家。経験もあるので、仕事になじみやすいから。」、「動物関係の専門学校を出て、動物関連の仕事を行いたかったから。」、「子どもが成人したこともあり、牛を飼っていた経験を活かしヘルパーになりました。」、と様々です。
 
 酪農ヘルパーが仕事をする時間は、朝と夕方の2回。朝は通常5〜8時の間に、エサやり、搾乳、牛舎の清掃といった作業を行います。終わってから食事で、日によっては朝と昼ごはんが同じになることもあります。夕方は4時くらいから朝と同様の作業を行います。
 乳搾りをすると、その牛が元気なのか、ちょっと調子が悪いのか、分かるそうです。
 
 搾乳機器・トラクターなど機械の操作では破損しないといったことに気を遣い、操作が難しい機械があればヘルパー同士で教え合っています。
 
 酪農ヘルパーの仕事については、「家族とともに地域に引越し、ヘルパーを長く続けていきたい。」、「地域の酪農は恒久的に人手不足で、ヘルパーがいないと酪農が成り立ちません。肉体的にも経済的にも厳しい仕事ですが、酪農家から多くのことを任せてもらい、酪農ヘルパーという仕事で生計を立てられるようにしたいです。酪農ヘルパー制度への支援もあって酪農家が積極的に利用してくれていますが、その仕組みは必要だと思います。」、中には将来について「酪農家と結婚したい!」という声もありました。
お話を伺った酪農ヘルパーの皆さん
お話を伺った酪農ヘルパーの皆さん
男性だけでなく、女性酪農ヘルパーも大活躍
男性だけでなく、女性酪農ヘルパーも大活躍

ヘルパーOBに聞く

ヘルパー経験を語る酪農家の小原さん
ヘルパー経験を語る酪農家の小原さん
 また、酪農ヘルパーから新規就農を実現した酪農家にお会いしました。
 この方は、酪農ヘルパーになるまでは酪農に従事したことがありませんでしたが、ヘルパーで技術を身に着け、義父から施設・機械・牛・農地を受け継ぎ、酪農を行っています。
 現在は、酪農ヘルパーを月2日は利用しながら、小さいお子さんを育てています。
 「酪農ヘルパーは、複数の酪農家に出入りするので、いろいろな酪農経営の特徴を知ることができます。技術的にも幅広い知識と経験を得ることができて良かったです。また、酪農家になって気付いたのは、他の酪農家との交流が乏しくなるので、酪農ヘルパー時代に培った人脈が経営を行っていく上で重要になっています。」とお話を伺いました。
 酪農家になった今、酪農ヘルパーが作業している間は牛舎には立ち入らず、ヘルパーになるべく任せるようにしているそうです。

全国2千人の酪農ヘルパー

 全国で約13,000戸の酪農家は、1年で約19日間、酪農ヘルパーを利用しています。 
 また、現在、全国で約2,200人の酪農ヘルパーの方々が活躍しています。ヘルパーを経験した後に酪農経営を始めた酪農家は、全国で約110人(平成5年度から平成22年度まで)に上っています。
 酪農ヘルパーは、365日休むことができない酪農家の皆さんの労働時間の軽減や休日の取得を容易にし、新規就農を実現するみちすじにもなっています。

 農畜産機構は、酪農ヘルパー組織を支援する事業を通して、ゆとりある持続性の高い酪農経営の実現に向けた取り組みを行っています。
(参考)
 平成23年度「酪農ヘルパー利用に関する資料」
 (酪農ヘルパー全国協会ホームページ) http://d-helper.lin.gr.jp/ index.html
小原さんの子牛。ヘルパー経験が活きる。
小原さんの子牛。ヘルパー経験が活きる。

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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196