【alicセミナー】地域農業の活性化への挑戦と課題
最終更新日:2013年8月16日
伊藤忠グループ (株)食料マネジメントサポート シニアアナリスト 平野 昭 氏
講演する平野昭氏
平成24年7月18日開催のalicセミナーでは、叶H料マネジメントサポート シニアアナリストで前大分県副知事の平野昭氏を講師としてお招きし、地域農業の活性化における資源配分と集中投資の重要性について、大分県の実例を交えて講演して頂きました。以下その概要を報告します。
大分県農業の現状と戦略
大分県は九州各県と比較して農業の縮小が目立ち、農業産出額および耕地利用率の低下が続くとともに、高齢化と担い手の減少に直面していました。そこで農業再生を図るため、儲かる農業の実現を掲げて大分県農林水産業振興計画「おおいた農山漁村活性化戦略2005」を策定しました。
大分の園芸
園芸の生産振興では、生産面積・販路の拡大、資源配分を見直し出荷市場の重点化を行ったことで、産出額は回復の兆しを見せました。
生産面積拡大を目指し、標高差を利用した白ねぎの夏場の高地栽培や、企業参入によるカボスの団地造成を行いました。また貯蔵や樹上での追熟により黄カボスとしてカボスの出荷期間を長期化しました。
また、販路拡大のため、「味一ねぎ」ブランドの確立や、「つぶらなカボス」「かぼすこ」などのカボス商品の開発、気仙沼産サンマやハイボールとカボスを組み合わせた食材PRキャンペーンを実施し、その他園芸作物の消費を呼びかけました。
流通改善として、戦略品目(トマト、いちご、白ねぎ、小ねぎ、カボスなど)を中心に、関西・関東・福岡地域に流通担当職員(マーケター)を常駐させ、流通専門家(マーケットアドバイザー)とともに産地づくりに励み、県域でまとまって流通に取り組む組織を作りました。
その結果、白ねぎは福岡市場で6〜7割のシェアを確保し、京阪神市場へも進出しました。カボスは原料が不足するほど好調な売り上げを記録しました。
力強い担い手の確保
農業高校との懇談会
新たな担い手として企業参入を推進し、134社が参入(H19〜23の累計)、既存農家にも良い刺激となりました。県の出先機関・市町村・農業委員会が連携して農業用地を確保するとともに、普及員が週一回訪問してA〜D評価をつけて指導にあたり、受入体制を整えました。参入企業が地域社会の一員としてどう農村を形作るかが今後の課題です。
またリース団地の整備や、農業高校・農業大学校と農業法人との交流会の開催、集落営農の組織化などにより新規就農者や後継者の育成を進めまし
副知事在任中の4年間を振り返って
農業政策の安定と信頼を確保することが、農業の再生と規模拡大の前提条件です。その上で、農業技術や気象に精通した人材や地域資源を事業化できる経営者など農業を専門とする人的資源の確保・活用が大切だと感じました。
大分イチゴの消費拡大キャンペーン
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196