【コラム】アルゼンチンの牛乳・乳製品消費事情
最終更新日:2014年3月5日
アルゼンチンにある「牛に注意」の道路標識
alic2013年9月号では、アルゼンチンの牛肉消費事情について紹介しましたが、今回は同国の牛乳・乳製品消費事情を紹介します。
アルゼンチンは広大な湿潤牧草地であるパンパ地方を中心に、多くの肉牛・乳牛が飼養されています
放牧地で休憩する乳牛
2011年のアルゼンチンの牛乳・乳製品1人1年当たり消費量(生乳換算ベース)は、205kgでした。これは、世界平均の約2 倍で、E U、オセアニア、北米といった牛乳・乳製品消費量が多い国に続きます。日本の同消費量は 88.6kgであるため、単純計算でアルゼンチン人は日本人の約2.3倍の牛乳・乳製品を消費していることになります。
アルゼンチンの牛乳の1人1年当たり消費量は44L(2012年)で、日本の同消費量約 31.1kg(平成 24 年度)とさほど大きな開きはありません。しかし、乳製品の消費量は両国間で大きく異なっています。
チーズ消費量は日本の5倍
アルゼンチンのチーズ消費量は1人1年当たり約 12 〜 13 kg程度で、日本人の約5倍となっております。
アルゼンチンでは多くの家庭で、チーズが常にストックされています。一口にチーズといっても、ハード、セミハード、ソフト、クリームと様々なタイプがありますが、それぞれ用途が分かれています。ハードタイプは削って粉チーズに、セミハードタイプはサンドウィッチの具などに、ソフトタイプはピザやエンパナーダ( ミートパイの一種)、ミラネッサ(牛肉とチーズのカツレツ)などの料理に使われます。アルゼンチンのスーパーマーケットに並ぶチーズは、品揃えが豊富なだけでなくサイズが大きいのも特徴です。
また、アルゼンチンは、赤ワインの生産が盛んなことで有名ですが、ワインを飲む際にもチーズが食卓に並びます。
乳製品を使った数々のスイーツ
ビヒランテ(チーズと芋ようかんが交互に並ぶ)
チーズを使ったアルゼンチン特有のスイーツに「ビヒランテ」があります。日本でいう芋ようかんとセミハードタイプのチーズを同時に味わうものです。由来は諸説有りますが、守衛が立ったまま時間をかけずに食べられるように組み合わされたと言われています。チーズの塩味をさつまいものしつこくない甘さが中和し、さっぱりと美味しく感じられるスイーツです。
季節を問わず楽しむジェラート
また、アルゼンチンのポピュラーな伝統的乳製品として、「Dulce de Leche(=ドゥルセ・デ・レチェ)」(英語名:ミルクキャラメル) が挙げられます。これは、砂糖と牛乳を煮詰めたもので、ケーキやアイスクリームなど製菓の原料やトッピングとして使われています。
ブエノスアイレスのカフェでは、ホットミルクにチョコレートを溶かして飲む「サブマリーノ」というメニューも有名です。さらに、牛乳をたっぷり使ったジェラートの専門店が街中に多数存在し多くの人が季節を問わずジェラートやアイスクリームを楽しんでいます。
乳製品を多く消費する欧州からの移民にルーツを持ち欧州系の食生活や文化が深く根付いてきたアルゼンチンでは、その独自の食文化を育みながら、多くの乳製品を消費してきました。最近では、健康志向の高まりを受けて、乳脂肪分などを調製した機能性乳飲料や乳製品の消費も増えてきています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196