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alicセミナー【超高齢社会と介護食品〜新しい介護食品〜】

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最終更新日:2014年7月2日

公益社団法人日本栄養士会 専務理事 迫 和子

高齢者人口の増加から、市場ニーズが増えている一方で地場の農水産物を利用した介護食品の取り組みや利用はまだ多くありません。このような現状から、平成25年2月に農林水産省に「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」が発足しました。
今回は、同会の委員として介護食品に深く関わっておられる迫氏から、これまでのご経験等も踏まえご講演いただきました。
以下、その概要をご紹介します。

超高齢社会の食を支えるということ

現在、医療・介護サービスの需要は供給を上回っており、必然的に「在宅介護」、つまり、できる限り健やかに住まいで過ごし、本当に必要になった場合にのみ病院で過ごすという選択をせざるを得ない状況となっています。
単身や夫婦のみの世帯が増加し、家庭や地域の力が低下するなかで高齢者の「食べることを誰が支えるのか」という問題は、生存に関わる非常に大きい問題となっており、早急な対策が求められています。

高齢者の栄養問題

高齢者の栄養問題で最も注意しなければならないのが「低栄養」です。メタボリックシンドロームという言葉が普及する一方で、高齢者にとっては「痩せ」が非常に危険な兆候であることはあまり知られていません。
特に、筋肉量の減少に伴う身体能力や運動機能の低下は深刻です。
また、在宅高齢者のうち3分の1が噛めない状態で、通常の食品からの栄養摂取が難しい状況です。
さらに、高齢者にとっては些細なストレスでも食欲減退の原因となります。元気に見える方でも、ほ
んの数日で食欲不振・栄養失調・体調不良という低栄養のスパイラルに突入してしまうのも注意したい点です。
「元気な方は肉を食べている。低栄養を回避する意味でも、高齢者ほどしっかりタンパク質を摂取してほしい。」と語る迫専務理事
「元気な方は肉を食べている。低栄養を回避する意味でも、高齢者ほどしっかりタンパク質を摂取してほしい。」と語る迫専務理事

「新しい介護食品」とは

これまでの介護食品は、施設向けの商品が主流でした。
しかし、これからの介護食品には在宅を念頭に「介護予防」という点から、今までよりもターゲットを広げていくことが求められます。その際、冷凍食品や加工品なども選択肢のひとつですが、握力等の減退によりパッケージを開封できない、また、熱さに対する皮膚感覚の衰えから、思わぬ火傷につながるといった点にも配慮が必要になってきます。
いまや市民権を得たベビーフードですが、その導入時には手抜きである等、批判的な意見が散見されました。同じような現象が、いま、介護食品の現場でも起きています。幅広い方が手に取り易い、身近な存在であるためにはネーミングも非常に重要です。

高齢者の食生活や介護食品の在り方については、誰もが避けられない問題として、利用者の視点が重要であり、積極的に関心を持っていただきたい課題です。
当日の詳しい資料は下記より入手できますのでご覧ください。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196