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【alicセミナー】「拡大するスペイン養豚産業の現状」 「メキシコの豚肉生産の現状と課題」

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最終更新日:2016年11月2日

 日本では、鶏肉と同じくらい食べられている豚肉ですが、国内供給量の約半分は輸入で賄われています。輸入先上位3国は、アメリカ、カナダ、デンマークと従来から馴染みのある国ですが、それに続くのがスペイン、メキシコで、最近の動向が注目されています。今回はこの両国の養豚産業・豚肉生産の現状について、alic調査情報部が行った海外調査の結果を、8月26日(金)開催のalicセミナーで大内田一弘、渡邊陽介の両名が報告しましたので、その概要を紹介します。

スペインの養豚・豚肉産業の拡大に注目

推移

 養豚が盛んなスペインは、2015年ドイツを抜いてEU最大の豚飼養国となりました。国内の生産体制の効率化が進み豚肉生産量も右肩上がりに増加しています。EU関係者の間では、いずれスペインがEU最大の豚肉生産国になると言われています。
 また、EUの他の国々に比べると低い人件費や需要者のニーズに合わせたカット対応ができることなどが輸出に当たっての強みとなっています。輸出量の7割はEU域内へ、残りは日本、中国、韓国などへ輸出されています。2015年には域内・域外合わせて100カ国以上に達した輸出先を有し、日本でのイベリコ豚のニーズに代表されるように、スペイン産の豚肉の需要は年々高まりつつあります。急速な生産の拡大で品質のばらつきが出てきているなどの課題があるものの、市場拡大を目指すスペインの養豚・豚肉産業は、今後もEU域内を超えて世界の豚肉需給に影響を与えるものと予測されます。

メキシコの豚肉産業はさらなるTIF認証施設の整備が必要

地域

 メキシコ国内では、豚肉の消費量が増加傾向で推移しています。それに伴い、豚肉生産量も増加しているものの、国内消費量の増加を補うことはできず、アメリカ産、カナダ産の豚肉の安価な部位を輸入しています。メキシコ国内では、低価格部位であるうでやもも、内臓、皮などが消費され、高価格部位であるロースやヒレなどを輸出しています。
 日本とメキシコは、経済連携協定(EPA)を締結しており、2 0 0 5年4月の発効以降、メキシコ産豚肉の輸入量は増加傾向です。日本では、串を刺した豚肉など日本のニーズに応えられる細やかな食肉処理技術に対し、高い評価を得ています。メキシコから日本への豚肉の輸出は、食肉製造過程で安全・衛生基準を満たしていることが保証されているTIF認証施設に限られています。対日輸出の2大生産地域であるソノラ州のTIF施設整備率は98.5%、ユカタン州では47.9%となっています。しかし、新たに対日輸出が解禁された州では、まだTIF整備率が低く、一方で国内でもTIF認証施設で処理された豚肉の需要が高まっていることなどがあり、今後TIF認証施設の増設がメキシコの豚肉産業の課題となっています。
【参考】月報『畜産の情報』2016 年6 月号「拡大するスペイン養豚産業の現状」
      https://www.alic.go.jp/content/000125476.pdf    
     月報『畜産の情報』2016 年7 月号「メキシコの豚肉産業の現状と課題」
      https://www.alic.go.jp/content/000126259.pdf

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