【alicセミナー】地理的表示保護制度について
最終更新日:2016年11月2日
大きな日輪を背にした富士山と水面がモチーフの“GIマーク”をご存知でしょうか。このマークが付けられた農林水産物や食品などは、その生産・製造方法、品質について国のお墨付きがあることを示しています。9月5日(月)に開催されたalicセミナーでは、確立した品質を有する産品の名称を保護するとともに、他の産品との差別化を図るためのGIマークを定める“地理的表示保護制度”について、農林水産省食料産業局知的財産課 課長補佐の進藤友寛氏に講演していただきましたので、その概要を紹介します。
平成27年6月スタート地理的表示保護制度
日本には、気候や風土、伝統的な製法などに基づいて作られた地域ブランド産品が数多くあります。それらは、「○○(地名)干柿」「△△(地名)牛」と名づけられ、高い品質を有し、社会的評価や評判も得て、市場に出回っています。しかし、一方で、品質のばらつきがでたり、模倣品を消費者が購入してしまったり、という問題も存在します。そこで、農林水産省は、名称から当該産品の産地が特定でき、産品の品質などの特性がその産地と結びついていることを特定できる“地理的表示”を知的財産として保護することによって、生産者と消費者の利益を守る制度“地理的表示保護制度”を平成27年6月から始めました。
この制度の概要は次のようなものとなっています。
(1)「地理的表示」を生産地や品質などの基準とともに登録することにより、その品質について国が
「お墨付き」を与える。
(2)基準を満たすものには「GIマーク」を付すことにより、他の産品との差別化が図られる。(消費者は、
表示を信頼して品質が保証された産品を購入することができる。)
(3)不正な表示の使用については行政が取り締まることにより、生産者は訴訟などの負担なく、
自分たちのブランドを守ることができる。
(4)生産者は登録された団体への加入などにより「地理的表示」が使用できることから、地域共有の
財産として、地域の生産者全体が使用できる。
また、GIマークを付けた産品は、海外へ輸出した場合に“国により保護された真正産品”と明示されたものであるため、農林水産物・食品の輸出促進にもつながることが期待されます。
制度登録により品質確保
地理的表示の登録には、生産・加工業者の組織する団体の申請が必要です。申請時には、産品の名称、特性、生産方法のほか、生産地の文化・風土との結びつきや生産実績のような伝統性など、その産品が満たすべき品質の基準が必要となります。申請後は、3カ月の意見公募の期間が設けられ、学識経験者の意見聴取を経て、農林水産大臣による登録審査が行われます。登録後は、申請した団体が一義的に生産行程管理状況などの品質管理を行い、農林水産大臣がこの業務が適切に行われているかを定期的にチェックします。これにより、地域共有の財産としての産品の品質が図られることになります。
平成28年9月7日時点で野菜、畜産物、農産加工品など17産品が登録されました。農林水産省では、今後も制度の普及を図っていくために、申請に係る産地からの相談を一元的に受け付ける支援窓口(GIサポートデスク)を設置しています。また、新規の申請内容や登録内容、その他説明会情報などのメールマガジンを配信しています。詳しくは、農林水産省地理的表示法に関するホームページをご覧ください。
【参考】農林水産省 地理的表示法
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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