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【alicセミナー】「中国の養豚をめぐる動向と環境規制強化の影響」「ブラジルの豚肉生産・輸出動向〜日本向けを含む輸出拡大の可能性〜」

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最終更新日:2018年9月5日

 alicの調査情報部では、最新の農畜産物の需給状況などを把握するため、海外調査を実施しています。平成30 年6月27 日(水) のalicセミナーでは、豚肉をテーマに、世界最大の豚肉生産、消費国である中国と、世界第4位の豚肉生産、輸出国であるブラジルの調査報告をしました。  

中国の養豚をめぐる動向と環境規制強化の影響

 豚肉を好む食習慣と膨大な人口により、世界最大の豚肉生産、消費国であることに加え、2015 年頃から輸入量が急増したことでさらに注目を集めている中国の動向について、同部 三原 亙より報告しました。
 中国語で「肉」というと豚肉のことを指すことからも推察されるように、中国では豚肉が最もポピュラーな食肉です。1人当たりの消費量は日本の約2倍で、図からもわかるように圧倒的に豚肉に偏っています。
 
 

セミ1

セミ2

セミ3

 また、飼養戸数がかなり多い反面、1 戸の飼養頭数が少ないことも中国の特徴です。国内農家の3戸に1 戸程度が豚を飼養し、うち50 頭未満の飼養農家が95 % を占めます。
 これらの飼養農家については、中国政府が近年同国で社会問題となっている環境汚染を軽減するため、日本の国土の約2倍にあたる面積を家畜の飼養禁止区域に指定したことで、多くの零細農家が撤退、廃業しました。
 国内での生産量も消費量も多い中国ですが、こうした環境規制による農家の撤退などを背景に生産量が減少しはじめ、その分を補うために2014年頃から輸入が増加傾向にあります。一方で、国内の大手生産者の積極的な増頭や、米国産豚肉への25 %の追加関税の賦課など、輸入減少につながる要因もあります。この先10 年間で人口が4000万人増加すると見込まれ、中長期的に見れば消費拡大の余地は大きく、今後国際市場への影響が一層強まるとみられる中国国内の豚の生産・消費動向について、注視していく必要があります。
 

ブラジルの豚肉生産・輸出動向

セミナー4

 鶏肉のイメージが強いブラジルですが、実は世界第4位の豚肉の生産、輸出国でもあります。その圧倒的生産力を武器に、今後、日本への輸出拡大の可能性はあるのか、同部 佐藤 宏樹より報告しました。
 
 ブラジルの豚肉の生産量は20 年間で約2・5倍に増加しています。これは人口の増加に伴う需要の拡大と、飼料原料が豊富なことによるものです。生産コストが安いため、一時はロシアなどにも輸出市場を獲得しましたが、201 7年12 月からロシアがブラジルに対し成長促進剤の使用を理由とする禁輸を実施した中で、その減少分を一部中国に仕向けています。  ブラジルの今後の輸出拡大は、ロシアの輸入再開や中国からの引き合いによるところが大きく、安定的な市場維持・確保に課題が残ります。特に、アジア圏の消費国の市場開拓が課題となっていますが、太平洋に面していないブラジルは、輸送に要する日数が長いため地理的に不利であり、輸出の99 %以上が冷凍であることから、品質面でも米国やカナダなどの競合国に比べ不利な状況にあります。  日本は同じ南米では、長年チリから豚肉を輸入しています。チリやメキシコは日本とEPA(※)を締結しており、低い関税での対日輸出が可能です。また、ブラジルは口蹄疫発生による家畜衛生の面や、恒常的に起こるストライキによる船積みの遅れなどの不安要素も多くあるため、今後日本国内からの引き合いが強まることはないと見ています。 (※) EPA…経済連携協定。特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するための条約。例えば輸出入にかかる関税を撤廃・削減することなどを約束。

セミナー図

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