【機構の動き】第22回世界食肉会議に出席〜世界の食肉産業の動向〜
最終更新日:2018年9月5日
5月30日から6月1日にかけて、米国テキサス州ダラスで世界食肉会議が開催されました。同会議は、当機構も加盟している国際食肉事務局(IMS)という国際的な組織によって、世界の食肉需給動向などに関する情報交換、畜産関係者の交流を目的として、2 年に一度開催されています。
第22 回目となる今回は、世界40 カ国以上から750名を超える関係者が参加し、「Trusting in Trade (貿易を信じる)」をテーマに掲げ、畜産業界を取り巻く状況に関する講演が行われました。
alicからは近藤副理事長ほかが参加し、世界の食肉関係者と意見交換を行うとともに、世界の食肉産業の動向に関する情報を収集しましたので、その概要を報告します。
?自由貿易の重要性と保護主義の台頭
トランプ大統領が保護主義的な政策に傾く中、注目された米国のパーデュー農務長官の講演では、「世界の人々を養うことは米国農業界の使命であり、そのためには、(1)生産性の向上(2)研究開発の促進(3)科学に基づく規制(4)自由貿易が重要である」との表明がなされました。他方、米国、EU、メキシコ政府の貿易担当者によるパネルディスカッションでは、EU及びメキシコ担当者から米国が進めている保護主義政策に対する批判が聞かれました。
また、カナダのマコーレー農務・農産食品大臣は、北米自由貿易協定(NAFTA)の再協議を踏まえ、北米の食肉業界におけるNA FTAの重要性を訴えました。さらに、アルゼンチンのエチェベレ農産業大臣は、輸出重視の政策への転換を表明しました。
?消費者ニーズの多様化
このほか、消費者ニーズの多様化に関する講演が多数ありました。現在、消費者の食品への関心事項は、低カロリーや減塩、食品の安全性などに加え、遺伝子組み換え作物、アニマルウェルフェア(動物福祉)、労働者の労働環境、サスティナビリティ(持続可能性) など多岐にわたっています。このようなニーズに応え、消費者に透明性や安心感を提供するためには、情報を一方的に発信するだけではなく、消費者の考えや疑問に耳を傾け、価値観を共有することが大切であるとの認識が示されました。
世界中で食品に対して安全性+ αが求められるようになった現在、世界の畜産業界では、多様なニーズに応えるための準備が進められています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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