【alicセミナー】野菜の消費拡大に向けて〜野菜の持つ機能性と新たな野菜の売り方を考える〜
最終更新日:2018年11月7日
alicでは、業務を通じて得られた情報や、これらに関連する様々な情報を広く国民の方々に知っていただけるよう社会的発信の充実に取り組んでおり、その一環として「alicセミナー」を開催しています。
近年、生活習慣病などの増加に伴い、病気は治療から予防する時代へと進む中、野菜のもつ健康への機能性を活用した野菜の消費拡大などに向けた販売の仕方が注目されています。
そこで、9月10 日(月)のal icセミナーでは、「野菜の消費拡大に向けて〜野菜の持つ機能性と新たな野菜の売り方を考える〜」をテーマに、野菜を「見た目」で評価するのではなく、野菜の「中身」を科学的に分析して、野菜の機能性評価に基づく新たな販売方法の提案を行っているデザイナーフーズ(株)の丹羽真清(にわますみ)代表取締役社長を講師にお招きし、ご講演いただきましたので、その概要を紹介します。
生活食から生命食へ
2016年の厚生労働白書によると、日本人男性の平均寿命81 .09 歳に対し健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は72 .14 歳、女性は同87.26 歳に対し74.79 歳と、つまり男性は8.95 年、女性は12 .47 年の開きがあります。政府も、2013年の「日本再興戦略」の中で国民の健康寿命の延伸をテーマにあげ、健康増進や病気の予防を中心とした仕組みつくりを政策として打ち出しました。自己健康管理「セルフメディケーション」を進めるために我々は何をすべきでしょうか。
体の37 兆個の細胞は食物から成り立っており、毎日代謝しています。3度の食事が細胞を再生、修復すると考えると、これらは単なる空腹を満たす食ではなく、「生命食」であると言えます。
食は命の源です。世界がん研究基金から、野菜・果物を多く摂ることが健康につながるというエビデンスが出ています。中でも野菜は、抗酸化力の高い物質を多く含み、野菜を食べることでエネルギーを摂り過ぎない、ミネラルやビタミン、食物繊維を摂取できる、といった利点が挙げられることから、生活習慣病を予防し、老化による疾病を減らせると期待されます。野菜のもつ機能性に着目し、それらを見極めて食べることで病気の予防、健康推進につながると考えます。
野菜を形の評価から中身の評価へ
これまで野菜は、見た目や重量を重視され、おいしさや栄養成分は後回しでしたが、野菜が健康につながるという意識が高まっていることから、今後は野菜の持つ力など中身の評価が重視されます。当社は「野菜の健康診断」として、4つの指標(糖度、抗酸化力、ビタミンC、硝酸イオン) で評価しています。
同じ野菜でも季節によって栄養成分は異なり、旬の時ほど糖度や抗酸化力が高いという結果が出ました。夏には夏野菜、冬には冬野菜を食べることで人は1年を通じて身体のバランスがとれる仕組みなのです。
野菜の消費拡大に向けて
糖尿病人口が増える中、糖質コントロール食(野菜とたんぱく質) や、血糖値を急激に上げない食べ方「ベジファースト(食事の際、野菜から先に食べること)」が注目を集め、野菜の消費拡大に向け追い風となっています。
いくつかの売り場では、野菜の栄養や機能を星の数やグラフで表したり、ポスターなどを使って「これを食べたら何を得られるか」を買う人に伝えています。また、野菜を機能性成分ごとに陳列するなどの工夫によっても、消費者は目的に応じた買い方ができます。
野菜の良さを正しく伝え、機能性を可視化することで、健康推進だけでなく、野菜の消費拡大にもつながっていくと考えます。
「野菜を食べて健康寿命を伸ばそう」をスローガンに、これからも野菜と健康に関する情報発信を続けていきます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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