消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 広報誌 > 【レポート】豪州の牛肉の生産動向について

【レポート】豪州の牛肉の生産動向について

印刷ページ

最終更新日:2019年7月3日

レポ1-1

 TPP11協定の参加国である豪州は、世界で3番目に多く牛肉を輸出する国です。日本にとっては最大の牛肉輸入先国でもあるため、今回は豪州の牛肉の生産動向について紹介します。
 

干ばつで牛肉生産量が増加

 2018年1月以降、豪州東部のニューサウスウェールズ(NSW)州やクイーンズランド(QLD)州を中心に広範囲で干ばつが発生しました。広大な国土を持つ豪州では、部分的な干ばつは日常的に発生していますが、このように広範囲に及ぶことはまれで、20年に1度の深刻な干ばつだと言われています(図1)。
 豪州では、広大な国土を活用し、肉用牛は主に放牧により飼養されています。しかし、干ばつになると、エサとなる牧草が生えなくなるため、肉用牛農家は牛が飢えないように牛をたくさん出荷して、飼う頭数を減らします。そのため、2018年のと畜頭数(※1)は前年度より10%多い787万頭となりました。このような肉用牛農家の動きにより、2019年6月末時点では、肉用牛の飼養頭数は2300万頭と、2000年以降2016年に次いで2番目に少なくなると見込まれています(※2)(図2)。

※1:成牛のと畜頭数。
※2:豪州農業資源経済科学局の見通しによる。
 

レポ1-2

ぐらふ

穀物肥育牛が増加

 豪州で肉用牛を肥育する方法は大きく分けると2種類あります。一つは、放牧によって肉用牛を育てる「牧草肥育」、もう一つは、ある程度の大きさまで放牧で育てた後、小麦や大麦などの穀物を与えて肥育する「穀物肥育」です。穀物肥育を行う施設を豪州などではフィードロットと呼びますが、干ばつが発生している地域では、前述のとおり、牧草が足りないため、他の地域から購入した穀物を給与するフィードロットでの肥育が増加します。
 2018年の広範囲な干ばつの影響を受け、9月のフィードロット飼養頭数は前年から9.9%増加した113万頭と過去最高を記録しました(※3)。また、2018年は、四半期ごとに調査されるフィードロット飼養頭数が、初めて4四半期のいずれも100万頭を上回るなど、穀物肥育牛の頭数が大幅に増加しました(図3)。
 2018年に限らず、たびたび干ばつが発生する豪州では、年間を通じて安定した品質の牛肉の供給が可能なフィードロットでの穀物肥育の需要が近年は増加しています。

※3:豪州フィードロット協会の調査結果による。
 

熱帯種

肉用牛飼養頭数の減少により2019/20年度からは牛肉生産量は減少の見込み

 2018/19年度(7月〜翌6月)の豪州の牛肉生産量は、干ばつによると畜の増加により、231万tに増えると見込まれています。しかし、この時期に肉用牛の頭数を減らしてしまったために、次の2019/20年度には、と畜する牛が少なくなっていることに加え、再び頭数を増やすために、母牛になる雌牛をと畜せずに飼い続ける農家が増えることから、牛肉の生産量は減少することが見込まれています。そのため、これまでずっと増え続けていた牛肉の輸出量も減少すると見込まれています(※4)。 ※4:豪州農業資源経済科学局の見通しによる

レポ1-1

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196