【alicから】日本の砂糖を支えるために〜特産調整部輸入調整第一課(今泉)〜
最終更新日:2020年1月8日
alicでは畜産物、野菜、砂糖・でん粉のそれぞれの分野を所管していますが、このページでは、よりalicを知っていただくために、1つの部署にスポットをあて、担当業務の内容やその舞台裏などについて、若手職員に聞きました。
Q 輸入調整第一課での業務の概要を教えてください。
特産部門では、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律に基づき「砂糖の価格調整制度」と「でん粉の価格調整制度」を運営しており、当課はこれらの制度のうち、輸入糖、異性化糖、輸入でん粉などから調整金を徴収する業務を担当しています。
砂糖の価格調整制度は、国内の精製糖企業などが輸入する砂糖などから調整金を徴収し、これを主な財源として、国内のさとうきび・てん菜生産者と、国内産糖の製造事業者に対し、交付金を交付して支援するものです(下図)。
Q.その支援はなぜ必要なのでしょうか。
日本の砂糖の消費量のうち約4割は国内のさとうきびやてん菜から作られる国内産糖で、残りの約6割は、オーストラリアやタイなどからの輸入糖をもとに作られています。
国内産糖の原料であるさとうきびは沖縄県と鹿児島県の南西諸島、てん菜は北海道と、それぞれに適した気候を有する非常に限られた地域で生産されています。一方、国内産糖の価格と、海外の広大な土地で安いコストにより生産された輸入糖の価格との間には大きな差があり、輸入糖がそのまま国内に流通すると国内産糖の生産が立ち行かなくなってしまいます。そうならないために、輸入糖から調整金を徴収し、国内産糖との内外価格差の調整を図っています。
Q.仮に国内産糖の生産が立ち行かなくなった場合、その原料となるさとうきびやてん菜の栽培はどうなるのでしょうか。
さとうきびの生産地は、台風の常襲(じょうしゅう)地帯である一方で、ダムなどの水源が乏しく干ばつになりやすく、農作物の生産には非常に厳しい地域です。そのような環境下で、自然災害に強いさとうきびは、他に代わるものがない重要な作物です。実際、これらの地域において、農家の約7割がさとうきびを栽培し、栽培面積は畑作面積の約半分を占めています。
一方、てん菜が栽培される、北海道の畑作農家では、連作障害を防ぐための輪作が行われています。連作障害とは、同じ畑で同じ作物を作り続けると土の状態が劣化する現象ですが、これを防ぐために違った種類の作物を一定の順序で栽培するのが「輪作」です。てん菜は麦や大豆などともに、北海道の輪作体系を維持するために欠かせない作物になっています。
また、さとうきびもてん菜も、生産者だけでなく国内産糖の製造工場や地域で収穫した作物の輸送に携わる方々など関連する産業と密接に関係して、地域の経済や雇用を支える上でも貢献しています。その生産農家のみならず、そこに暮らす多くの人々の生活や社会を守る基幹作物なのです。
Q.砂糖の価格調整制度は、さとうきびやてん菜の生産地を支えるかけがえのないものなのですね。
価格調整制度の運営は、さとうきび・てん菜の生産者や国内産糖の製造事業者はもちろん、消費者にとっても大変重要です。砂糖は、国民の摂取カロリー全体の1割弱を占め、食料自給率への寄与度も高い品目であり、また脳とからだのエネルギー源となっている必要不可欠な食料です。砂糖の安定供給を図ることにより日本の食生活を支えているということを肝に銘じて、私たちも日々の業務にあたっています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196